image101神奈川労働局が平成 26 年1 月~12 月の労働基準法,労働安全衛生法等の違反被疑事件として検察庁へ送検した件数などの状況を公表しました。資料によれば、送検件数は 34 件(前年比 -13 件 -27.7%)となっており、法令別には次のようになっています。

  • 労働基準法等違反 19 件(前年比 ± 0 件 ±0%)
  • 労働安全衛生法違反 15 件(前年比 -13 件 -46.6%)

労働基準法等違反被疑事件の内容は,「賃金不払」12 件,「違法な時間外労働時間」2 件,「解雇」,「残業割増賃金」,「出来高払の保障給」,「年次有給休暇」および「建設業附属寄宿舎の設置場所,避難等の訓練」が各 1 件となっています。

また、労働安全衛生法違反被疑事件の主な内容は,「掘削等による危険」5 件,「機械・設備等による危険の防止」3 件,「労災かくし」3 件となっています。

以下では、労基法違反事例について、公表されたものを検討してみましょう。

事例① 違法な時間外労働・休日労働

神奈川県内でタクシー業を営む使用者が,労働基準法第 36 条に定める時間外労働・休日労働に関する協定(いわゆる 36 協定)が適法に締結されていない状態で,タクシー運転手に対して違法な時間外労働・休日労働を行わせたとして立件したもの。その結果,タクシー運転手は脳梗塞を発症した。(労災認定)

事例② 賃金不払

神奈川県内で保育事業及び介護事業を営む使用者が,ずさんな事業計画によって,保育園の開園,閉園を繰り返し,その度に賃金不払を発生させていたもので,出頭に応じないため,強制捜査を行い,平成24年から平成25年にかけて雇用していた労働者15名分の総額約240万円の賃金不払について立件したもの。

事例①については、端緒となったのは脳梗塞による労災認定だったと推測します。このように、労基法違反を伴う重大な労働災害について、労基署による調査が行われることは珍しくありません。つまり、事業者は結果責任を問われることになるわけです。

事例②については、出頭命令などの指導に従わなかったケースです。労基署が調査(臨検)を行い、労基法違反が発覚した場合であっても、かならず送検されるというわけではありません。しかし、是正勧告に応じなかったり、虚偽の是正報告を行ったりした場合、悪質な事案として送検処分が行われるようです。

今回取り上げた労基法に抵触する時間外労働や賃金不払は、近年の違反事例ではツートップといえるものです(二つが繋がっているケースも多い)。今年から長時間労働について重点的に監督指導が行われることも先日の記事で取り上げましたが、まずはここから見直しを図るべきポイントといえるでしょう。

■関連リンク

平成26年における司法処分状況について(神奈川労働局)

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