厚生労働省が「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しましたので、今回はそのポイントについてみていくことにしましょう。
ここで「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度で、「総合労働相談」、都道府県労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。
令和2年度の総合労働相談件数は前年度より増加した一方、助言・指導申出の件数、あっせん申請の件数は前年度より減少しました。総合労働相談件数は129万782件で、13年連続で100万件を超え、高止まりの状態です。一方「あっせん申請」は5年ぶりに5,000件を割り込み、中長期的な減少傾向が進んでいます。
このうち、総合労働相談に寄せられた相談内容が多いものは次の通りです。
- いじめ・嫌がらせ ……… 79,190件
- 自己都合退職 …………… 39,498件
- 解雇 ……………………… 37,826件
なお、令和2年6月、労働施策総合推進法が施行され、大企業の職場におけるパワーハラスメントに関する個別労働紛争は同法に基づき対応することとなったため、同法施行以降の大企業の当該紛争に関するものはいじめ・嫌がらせに計上されていないことに留意が必要です(同法違反の疑いのある相談は「労働基準法等の違反の疑いがあるもの」として計上されています)。
参考リンク
「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します。(厚生労働省HP)