職業安定法の改正にともない、職業安定法施行令・施行規則の改正案が労働政策審議会に対して諮問されました。今回はその改正案の概要をみていきます。

求人の不受理について

職業安定法は、職業紹介事業者等に対して求人の全件受理の義務を課しているところですが、一定の労働関係法令に違反する求人者からの求人については受理しないことができることとされています。違反した場合に求人不受理にできる対象条項は職業安定法施行令、対象となるケースは職業安定法施行規則で規定されており、現在は、①過去1年間に2回以上、同一条項違反で是正指導を受けた場合には是正後6か月経過まで、公表された場合は送検後1年経過まで不受理、②職業安定法、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法違反の是正を求める勧告等に従わずに公表された場合に是正後6か月経過まで不受理とされています。

この求人不受理の対象について、職業安定法第5条の4において、労働者の募集を行う者は広告等により募集情報等を提供するときは、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならないこととされるとともに、正確かつ最新の内容に保たなければならないこととされたため、これに違反し、違反の是正を求める勧告等に従わずに公表された場合を求人不受理の対象に加えることとされました。

求人等に関する情報の的確な表示

上記の通り、広告等により求人等の情報を提供するときは、正確かつ最新の内容を保つための措置を講じなければならないとされました。そしてその方法として、施行規則案では、以下のとおり定めることとされました。

  1. 求人等に関する情報の提供者や情報を提供されている求人企業・求職者から、掲載の中止や内容の訂正の依頼があった場合には、速やかに対応する。また、正確かつ最新の情報でないことを自ら確認した場合には、速やかに内容の訂正の依頼又は掲載の中止を行う。【全事業者共通】
  2. それぞれの事業者ごとに以下のいずれかの措置をとることを定める。
    • 職業紹介事業を行う者、労働者供給事業者
      • 求人者や求職者に定期的に情報が最新であるか確認を行う
      • 求人や求職者の情報の時点を明示する
    • 第4条第6項第1号に該当する募集情報等提供事業者(労働者の募集を行う者や募集受託者、職業紹介事業者、職業紹介事業を行う地方公共団体、情報等提供事業を行う者からの依頼を受けて労働者の募集に関する情報を提供する者)
      • 募集者等に対し求人が充足したときや内容を変更したときには、速やかに通知するよう依頼する
      • 労働者の募集に関する情報の時点を明示する
    • 第4条第6項第2号に該当する募集情報等提供事業者
      • 労働者の募集に関する情報を、定期的に収集・更新し、その頻度を明確にする
      • 労働者の募集に関する情報を収集した時点を明示する
    • 第4条第6項第3号に該当する募集情報等提供事業者
      • 労働者になろうとする者に対し情報を正確かつ最新の内容を保つよう依頼する
      • 労働者になろうとする者に関する情報の時点を明示する
    • 第4条第6項第4号に該当する募集情報等提供事業者
      • 労働者になろうとする者に関する情報を、定期的に収集・更新し、その頻度を明確にする
      • 労働者になろうとする者に関する情報を収集した時点を明示する

特定募集情報等提供事業の届出

改正法により「特定募集情報等提供事業を行おうとする者」について、届出義務が課されました。省令案では、届出事項として、氏名または名称、住所、連絡先、職業紹介事業者または派遣事業者の場合には許可番号又は届出番号が定められました。また、様式事項として、サービス名称、サイトURL、第4条第6項第各号のいずれに該当する事業かを定め、厚労省の人材サービス総合サイトに一覧として掲載し、利用者のサービス選択に資するようにするものとされました。届出にあたっては、住民票の写し(個人の場合)または登記事項証明書(法人の場合)の添付を求めるものとされました。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

第179回労働政策審議会職業安定分科会資料(厚生労働省HP)