今回の記事、ざっくり言うと…

  • 厚生労働省が「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」の参考資料として、「脳卒中に関する留意事項」と「肝疾患に関する留意事項」を作成
  • 参考資料では、脳卒中と肝疾患に関する基礎情報と、各疾病について特に留意すべき事項をガイドラインに追加したもの

厚生労働省が「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン(以下、「ガイドライン」)」の参考資料として、「脳卒中に関する留意事項」と「肝疾患に関する留意事項」を作成し、公表しました。

このガイドラインは、昨年2月に、事業場が、がんなどの疾病を抱える従業員に対して、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と職業生活が両立できるようにするための取組などをまとめたものです。

今回の参考資料は、前回のガイドライン策定時に併せて作成された「がんに関する留意事項」と同様に、脳卒中と肝疾患に関する基礎情報と、各疾病について特に留意すべき事項をガイドラインに追加したものです。

  • 脳卒中に関する留意事項
    • 再発等予防・治療のための配慮
    • 障害特性に応じた配慮
    • 復職後の職場適応とメンタルヘルス
  • 肝疾患に関する留意事項
    • 肝疾患の特徴を踏まえた対応
    • 肝疾患に対する不正確な理解・知識に伴う問題への対応

ところで、近年医療技術の進展により、病気に関しても従来の認識とは状況が変わっている場合があることには注意が必要です。

たとえば、今回追加された脳卒中については、一般に手足の麻痺や言語障害などの大きな障害が残るというイメージがありますが、就労世代などの若い患者においては、約7割がほぼ介助を必要しない状態まで回復するため、脳卒中の発症直後からのリハビリテーションを含む適切な治療により、職場復帰(復職)することが可能な場合も少なくないとされています。

また、もともと誤解されることの多い病気への理解を深めることも重要です。

今回追加された肝疾患のうち、B型・C型肝炎ウイルスについては、感染リスクについて誤解がある場合も少なくないようです。B型・C型肝炎ウィルスは血液を介して感染するものですので、会話や握手、会食(一緒に食事をすること)など、通常の日常生活や就業の範囲では感染することはないとされています。

このように、ガイドラインは、病気に関する理解を深める上でも、参考になる資料といえます。

参考リンク

「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」の参考資料に、脳卒中と肝疾患に関する留意事項を追加しました~疾病を抱える方々の治療と職業生活の両立を支援する企業に向けて~(厚生労働省HP)

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