写真は新庄祭りの山車で、本記事とは関係ありません。

自動車運転者について適用される改善基準の見直しについて議論が行われている働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会で、実態調査の調査結果が報告されました。本調査は3業態合計で、全国で1,293の事業場、9,590名の自動車運転者を対象に行われたものです。回答状況は回答率が事業者調査が39.1%、自動車運転者調査が25.8%でした。

まず1日の拘束時間については、繁忙期において、1日の拘束時間が「13時間以下」の割合は、全業態で6割を超えており、ハイヤー・タクシーが79.4%、トラックが62.8%、バスが67.1%でした。また、繁忙期において、1日の拘束時間が「16時間超」の割合は、全業態で1割未満であり、ハイヤー・タクシーが1.5%、トラックが4.3%、バスが1.5%でした。なお、自動車運転者の調査では、最も忙しかった1日における拘束時間が「16時間超」の割合は、ハイヤー・タクシーが10.8%、トラックが15.0%、バスが7.4%と、事業所調査よりも若干高い割合となっていますが、決して高い割合とまではいえませんので、おおむね遵守されているといってよいと思われます。

次に休息期間の実態については、最も忙しかった日における休息期間が「8時間以上」の割合は、全業態で7割を超えており、ハイヤー・タクシーでは70.8%、トラックでは71.3%、バスでは80.9%でした。なお、自動車運転者が適切と思う休息期間が「8時間以上」の割合は、全業態で6割を超えており、ハイヤー・タクシーでは60.3%、トラックでは68.2%、バスでは99.3%でした。そのうち「10時間以上」の割合は、全業態で最も高い割合となっています。

次に1か月の拘束時間については、繁忙期において、1ヶ月の最大拘束時間を超えた割合は、全業態でごくわずかでした。また、繁忙期において、1ヶ月の拘束時間が限度時間以下である割合は、ハイヤー・タクシーおよびバスが約9割、トラックが約8割でした。なお、「275時間未満」の割合は、全業態で5割を超えていました。さらに1年の拘束時間の限度時間を超えていた割合も、全業態で1割未満でした。

以上の調査結果から、多くの企業が現行の改善基準を遵守しているという結果となりました。そのため、今後は、それぞれの限度基準についても短縮する方向で議論が進むことが予想されます。

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参考リンク

第5回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会資料(厚生労働省HP)