今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 労働政策審議会が厚生労働大臣に対し職業紹介等に関する制度の改正について建議を行った
  • 建議では、求人者等を、労働条件等の明示義務違反等一定の場合には、勧告、勧告に従わなかった場合はその旨公表することができる制度とすることなどが含まれる
  • 虚偽の条件を呈示して、公共職業安定所、職業紹介事業者等に求人の申込みを行った者について、罰則の対象とすることが適当とされた

世界の労働基準監督署から:vol012&世界のハローワークから:vol011 新庄労働基準監督署・ハローワーク新庄

労働政策審議会が厚生労働大臣に対し職業紹介等に関する制度の改正について建議を行いました。その内容は多岐にわたりますので、ここでは、求人者に課せられる新たな規制等を中心にみていくことにしましょう。

まず、求人者等は、労働契約の締結に際して提示しようとする労働条件等(賃金、労働時間等の職安法5条の3第3項の書面等による明示が必要な事項)が、次の場合に該当するときは、その旨を、労働契約の相手方となろうとする者が認識できるよう書面等で明示しなければならないものとすることが適当とされました。

  • 賃金、労働時間等の職安法5条の3第1項の規定による当初の明示(「当初の明示」)において明示していなかった労働条件等を新たに提示しようとする場合
  • 当初の明示において一定の範囲をもって明示した労働条件等を特定して提示しようとする場合
  • 当初の明示において明示した労働条件等と異なる内容の労働条件等を提示しようとする場合

次に、労働条件等の明示義務に係る明示事項について、次の措置を講ずることが適当とされました。

  • 若者雇用促進法に基づく指針と同様に、固定残業代に係る計算方法、固定残業代を除外した基本給の額等を明示しなければならないこと。
  • 期間の定めのある労働契約を締結しようとする場合は、当該契約が試用期間の性質を有するものであっても、試用期間満了後に締結する労働契約に係る労働条件ではなく、当該期間の定めのある労働契約に係る労働条件を明示しなければならないこと。

また、次の内容を追加することとされています。

  • 試用期間に関して、①試用期間の有無、試用期間があるときはその期間、②試用期間中と試用期間満了後の労働条件が異なるときはそれぞれの労働条件
  • 労働契約を締結する求人者又は労働者の募集を行う者の氏名又は名称
  • 派遣労働者として雇い入れようとする場合は、その旨

第3に、求人者等を、職業安定法に基づく指針、指導及び助言、申告、報告徴収及び検査の対象とすることが適当とされ、労働条件等の明示義務違反等一定の場合には、厚生労働大臣は、必要な措置を勧告することができることとするとともに、当該勧告に従わなかった場合はその旨公表することができることとすることが適当とされました。

さらに、虚偽の条件を呈示して、公共職業安定所、職業紹介事業者等に求人の申込みを行った者について、罰則の対象とすることが適当とされました。

参考リンク

労働政策審議会建議-職業紹介等に関する制度の改正について-(厚生労働省HP)

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