世界の労働基準監督署からVOL009:高崎労働基準監督署

厚生労働省が賃金のデジタル払いによる賃金の支払いに関する特設ページを公開しました。

賃金の支払方法については、通貨のほか、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等によることができることとされていますが、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることも踏まえ、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)ができることとされました。

以下では、その特設ページに掲載されたQ&Aを参考に、賃金のデジタル払の概要についてみていきましょう。

まず、大前提として、賃金のデジタル払いは必ず実施しなければならないものではなく、賃金の支払・受取の選択肢の1つです。労働者が希望しない場合は賃金のデジタル払いを選択する必要はなく、これまでどおり銀行口座等で賃金を受け取ることができます。また、使用者は希望しない労働者に強制してはいけません。

また、賃金のデジタル払いは、厚生労働省が指定した資金移動業者を利用しなければなりませんので、現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払は認められません。

賃金のデジタル払いは、令和5年4月1日から、資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請を行うことができますが、審査には、数か月かかることが見込まれていますので、実際には夏以降になるとみられます。

デジタル払いを利用する事業場では、利用する指定資金移動業者などを内容とする労使協定を締結した上で、労働者は賃金のデジタル払いを希望する場合には、その留意事項を説明を聞き、使用者に同意書を提出することが必要です。

デジタル払いを利用とする労働者は、資金移動業者口座は「預金」をするためではなく、支払や送金に用いるためであることを理解の上、支払等に使う見込みの額を受け取るようにすることに留意する必要があります。

一方、使用者は、労働者に対して賃金のデジタル払いを賃金受取方法として提示する際は、銀行口座か証券総合口座を選択肢としてあわせて提示しなければいけません。また、労働者に対して、同意書の裏面に記載された留意事項を説明してください。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

資金移動業者の口座への賃金支払(厚生労働省HP)