厚労省作成リーフレット

賃金デジタル払いが解禁されれ1か月が経過しました。現時点では、厚労省の認定を受けた資金移動業者第1号の報道はないようですが、今後認定を受けたタイミングで、もう一度ニュースなどで取り上げられ、従業員から質問が寄せられることも考えられます。そこで、以下では、厚労省がHP上に掲載しているQ&Aについてみてみましょう。

(Q)労働者は、必ず賃金のデジタル払いで受け取らなければならず、銀行口座等で受け取ることができなくなるのでしょうか。
(A)賃金のデジタル払いは、賃金の支払・受取の選択肢の1つです。
労働者が希望しない場合は賃金のデジタル払いを選択する必要はなく、これまでどおり銀行口座等で賃金を受け取ることができます。また、使用者は希望しない労働者に強制してはいけません。
賃金の一部を資金移動業者口座で受け取り、残りを銀行口座等で受け取ることも可能です。

大前提としておさえておくべき設問です。賃金のデジタル払は労使ともに選択肢の一つにすぎません。そのため、次の設問の回答でも、「賃金のデジタル払いは、・・・労働者のみならず、使用者に対しても導入を強制するものではありません」としています。

次に見るのは、デジタル払いで解禁されるのはどのようなものなのかを示した設問です。

(Q)賃金のデジタル払いを選択した場合、ポイントや仮想通貨などで賃金が支払われることがありうるのでしょうか。
(A)現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払は認められません。

さらに、賃金のデジタル払いが可能になるのは、厚生労働大臣に指定申請を行い、基準を満たしているとして指定された事業者に限られます。このように、デジタル払が可能になるのは一定の資金移動業者の口座(〇〇Pay)に限られます。

次にみるのは、賃金のデジタル払いを始めるために必要な手続等を定めた設問です。

(Q)賃金のデジタル払いを開始するために、事業場で必要な手続きを教えてください。
(A)事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合と、ない場合は労働者の過半数を代表する者と、賃金デジタル払いの対象となる労働者の範囲や取扱指定資金移動業者の範囲等を記載した労使協定を締結する必要があります。

その上で、賃金のデジタル払いを希望する個々の労働者は、留意事項等の説明受け、制度を理解した上で、同意書に賃金のデジタル払いで受け取る賃金額や、資金移動業者口座番号、代替口座情報等を記載して、使用者に提出することが必要になります。

以上のように、賃金のデジタル払を開始するためにはつぎのようなプロセスがひつようとなります。

労使協定の締結→労働者への説明→労働者の同意書の取得

ここで、労働者の説明にあたっては、「資金移動業者口座は「預金」をするためではなく、支払や送金に用いるためであることを理解の上、支払等に使う見込みの額を受け取るように」説明する必要があります。厚労省が作成した同意書の裏面にも留意事項が記載されています。

また、「労働者に対して賃金のデジタル払いを賃金受取方法として提示する際は、銀行口座か証券総合口座を選択肢としてあわせて提示しなければ」ならないとされています。次の内容も、労働者への説明が必要な事項です。

(Q)万が一、指定資金移動業者が破綻した場合、アカウント残高は消えてしまうのでしょうか。
(A)厚生労働大臣の指定する資金移動業者が破綻した場合には、賃金受取に用いる口座の残高が保証機関から速やかに弁済されます。
具体的な弁済方法は、資金移動業者ごとに異なりますので、賃金のデジタル払いを選択する際にご確認ください。

このように、賃金の振込先として指定していた資金移動業者が破綻した場合でも、一定の保護が行われることになっています。

このほかの資料、通達等は以下のURLのリンク先を参照してください。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について(厚生労働省HP)