image099東京労働局が、管下 の労働基準監督署が平成 25 年度に実施した、過労死・過労自殺など過重労働による健康障害を発生させたとして、労災申請が行われた事業場に対して実施された107件の監督指導結果の概要を取りまとめ、公表しました。資料を見る限りでは、過労死が発生した事業場はすべて監督指導の対象となっているようです。

その結果は、88%(94事業場)で労働基準法や労働安全衛生法などの法令違反があったというものでした。しかし、これは逆に言うと10%以上のケースは法令違反がないにもかかわらず過労死が発生したということですので、これはこれで少し不思議です。

違反事項で多いものは、労働基準法では、 ①労働時間、②割増賃金、③賃金台帳 に関するもの、労働安全衛生法では、 ①衛生管理者または衛生推進者の選任、②衛生委員会の設置、③定期健康診断となっています。また、監督実施の半数以上の 58 事業場において、過重労働の実態が認められたとしています。

本調査では、労働時間の把握方法についても調査が行われていますので、その点についても少し触れておきましょう。過労死が発生した事業場のうち、労働時間の把握を行っていた事業場における労働時間管理の手法は、自己申告によるものが32 事業場で最も多く、次いでタイムカードによるものが20 事業場、ID・IC カードによるものが15事業場という順でした。これらを併用しているケースが実は一番多い(36事業場)のですが、単独では、過労死発生事業場では、自己申告制によっているケースが最多となっています。

ところで、「自己申告制」は、労基法上直ちに違反となるものではないのですが、労基署による臨検が入ると「実際の労働時間と違いがないか適切に把握するようにすること」のような指導がしばしば行われます。それも、過労死が発生している事業場で自己申告制のケースが多いといった事実があるためなのかもしれません。

なお、東京労働局は、長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害防止に向け、今後一層積極的に監督指導等を行うとしています。

 

■関連リンク

過労死・過労自殺など過重労働による健康障害を発生させた事業場に対する監督指導結果について~88%の事業場に法令違反を指摘~

 

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