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東京都が中小企業の賃金事情(令和3年版)を公表しました。

本調査は、従業員が10人~299人の都内中小企業を対象とした賃金についての調査したものです。大企業については、行政機関や民間研究機関等で各種の調査が実施され、調査結果が公表されているものの、企業数の大半を占める中小企業については、必ずしも十分とはいえない状況であるため、東京都が毎年調査結果を公表しています。

調査の内容は、「賃金」、「賞与・諸手当」、「初任給」、「モデル賃金」、「初任給」等で、「退職金」と「労働時間」については、隔年で交互に調査しており、本年は「労働時間」、「休日・休暇」について調査が行われました。以下では、注目のポイントをいくつか見ていきましょう。

はじめに年次有給休暇についてです。働き方改革関連法が施行後、取得率に変化はあったのでしょうか。

最近1年間の年次有給休暇の利用状況は、1人平均の新規付与日数は16.6日、利用日数は9.7日でした。 利用率(新規付与日数に対する利用日数の割合)は58.4%となっており、前回調査の57%(令和1年)よりも若干増加しました。

また、利用率を産業別にみると、最も高いのが「金融業,保険業」で67.6%、次いで「医療,福祉」の65.8%である一方、最も低いのは「生活関連サービス業,娯楽業」の44.7%でした。

次に働き方改革の一環で広まりつつある諸制度の普及の状況を概観しましょう。第1に、勤務インターバル制度については、「制度あり」が3.4%と導入している企業は非常に少なく、「制度なし」が95.7%でした。また、導入した制度の内容については、「翌日の所定労働時間を短縮する」が51.7%と最も多く、次いで「翌日の所定労働時間全体を後倒しにする」が24.1%となっています。

第2に、週休3日制の導入状況についてみると、「制度あり」が2.0%と勤務間インターバル制度以上に導入企業は少なく、「制度なし」が97.1%でした。導入した制度の内容については、「所定労働時間を短縮する」が58.8%と最も多く、次いで「所定労働時間を変更しない」が35.3%となっています。

第3に、時差出勤制度については、「制度あり」が33.6%と、上の2制度に比べると高い導入率となっています。導入した制度の内容については、「勤務パターンが3つ以上」が57.3%と最も多く、次いで「勤務パターンが2つ以下」が31.8%となっています。

最後にテレワーク制度については、「制度あり」が44.2%、「制度なし」が54.8%でした。中小企業でも4割以上でテレワーク制度が導入されたことがわかりました。制度の内容については、「労働時間制度は変更しない」が 74.0%と最も多く、次いで「みなし労働時間制(事業場外)の導入」が16.7%となっています。

このようにテレワークや時差出勤を導入する企業は増加した一方で、勤務間インターバル制度などは普及がほとんど進んでいないことが明らかになりました。新型コロナウイルス感染症の影響により、必要性が高い施策が導入された結果といえるでしょう。

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参考リンク

中小企業の賃金事情(令和3年版)(東京都産業労働局HP)