世界のハローワークからVOL016:ハローワーク品川

現在雇用保険制度について見直しを議論している労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が、このたび部会報告案を公表しました。今後の雇用保険制度の見直しの方向性をうかがうことができますので、今回はこのなかで重要と思われる部分を紹介しましょう。

まず、「自己都合離職者の給付制限期間について」では、「一般の受給資格者のうち、自己都合(正当理由なし)により離職した者に対しては、…3箇月間の給付制限期間が設定されているところである。これについて、…その給付制限期間を5年間のうち2回までに限り2箇月に短縮する措置を試行することとし、その効果等を施行後2年を目途として検証する」とされました。

次に「被保険者期間について」では、 失業等給付の受給資格の判定の基礎となる被保険者期間については、「賃金支払の基礎となる日数が11 日以上である」月を算入している ところ、「従来の「賃金支 払の基礎となった日数が11日以上である月」の条件が満たせない場合でも、『当該月における労働時間が80時間以上』であることを満たす場合には算入できるようにするべき」とされました。

このように、基本手当に関してはより受給しやすくなるような措置が講じられることが見込まれます。

第3に、従来から議論はされているものの実施は見送られてきた「マルチジョブホルダーについて」です。これについては、今回一歩進んだ提案がされています。すなわち「まずは、65歳以上の労働者を対象に、本人の申出を起点に2つの事業所の労働時間を合算して「週の所定労働時間が20 時間以上である」ことを基準として適用する制度を試行することとし、その効果等を施行後5年を目途として検証するべき」とされました。

以上のように、折からの人手不足による失業者の減少から、雇用保険の財政は比較的余裕があり、今回の改正も方向性としては支給要件の緩和などが盛り込まれました。 今後、正式な部会報告が取りまとめられる中で変更される可能性もありますので、今後の議論の行方にも注目です。

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参考リンク

第136回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料(厚労省HP)