今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • ストレスチェック制度に関する省令・告示・指針が定められ公表された
  • 省令では、ストレスチェックの実施頻度、検査すべき3つの領域、ストレスチェックの実施者となれる者、結果の記録の作成・保存方法、一定規模の集団ごとの集計・分析、ストレスチェック結果に基づく医師による面接指導の実施方法、労働基準監督署への実施状況に関する定期報告などについて定めている

image170厚生労働省は、昨年公布された改正労働安全衛生法により、新たに設けられた「ストレスチェック制度」。その具体的な内容や運用方法を定めた省令が公布されるとともに、告示、指針を定められました

なお、ストレスチェック制度とは、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務付ける制度(従業員数50人未満の事業場は制度の施行後、当分の間努力義務)で、平成27年12月1日から施行されます。

ここでは、ストレスチェック制度に関する省令(労働安全衛生規則の一部改正)のポイントについてみてみましょう。

1.産業医の職務

  • 産業医の職務に、「ストレスチェックの実施」等が追加されます。

2.検査の実施など

  • 事業者は、常時使用する労働者に対して、次の3つの項目について、毎年1回定期的に検査を行わなければなりません。
  1. 職場におけるストレスの原因に関する項目
  2. ストレスによる心身の自覚症状に関する項目
  3. 職場における他の労働者による支援に関する項目
  • 検査の実施者は、医師または保健師のほか、一定の研修を修了した看護師・精神保健福祉士とする。
  • 検査を受ける労働者について、解雇などの直接的な人事権を持つ監督者は、検査の実施の事務に従事してはならない。
  • 事業者は、労働者の同意を得て、検査の結果を把握した場合、この結果の記録を作成し、5年間保存しなければなりません。それ以外の場合は、事業者は、検査を行った実施者による検査結果の記録の作成、検査の実施の事務に従事した者によるこの記録の保存が適切に行われるよう、必要な措置を講じなければならない。
  • 検査結果は、検査の実施者から、遅滞なく労働者に通知しなければならない。

3.検査結果の集団ごとの分析など(努力義務)

  • 事業者は、実施者に、検査の結果を一定規模の集団ごとに集計させ、その結果について分析させるよう努めるとともに、この分析結果を勘案し、必要と認められる場合は、その集団の労働者の実情を考慮して、この集団の労働者の心理的な負担を軽減するため、適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

4.検査結果に基づく面接指導の実施など

  • 検査結果に基づく面接指導の対象となる労働者の要件は、「検査の結果、ストレスの程度が高い者」で、「検査を行った実施者が面接指導の実施が必要と認めた場合」とする。
  • 労働者が検査結果の通知を受けた後、面接指導の申し出を遅滞なく行うとともに、事業者は、労働者から申し出があった場合は、遅滞なく面接指導を実施しなければならない。また、面接指導の実施者は、面接指導の対象となる要件に該当する労働者に対して、面接指導の申し出を行うよう勧奨することができる。
  • 医師は、面接指導を行うに当たっては、この労働者の勤務状況や心理的な負担の状況などを確認しなければならない。
  • 事業者は、面接指導の結果の記録を作成し、これを5年間保存しなければならない。
  • 面接指導の結果に基づく医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後、遅滞なく行わなければならない。

5.その他の事項

  • 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、検査、面接指導の実施状況などについて、毎年1回定期的に、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。

■関連リンク

改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針を公表します(厚生労働省HP)

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