今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 愛知労働局が偽装請負を行ったとして、E社を刑事告発した。派遣法違反での刑事告発は珍しいといえる

image173愛知労働局が昨年11 月にE社を労働者派遣法違反の疑いで、愛知県警察本部に告発したことを公表しました。労働者派遣法違反で刑事告発された事例は、私の知る限り稀なケースと思われますので、今回はこの事例についてみてみましょう。

今回の事例は、いわゆる偽装請負のケースです。

すなわち、E社は、「主に製造業務請負業を行うものであるが、労働者派遣法・・・に規定する〔特定労働者派遣に必要な〕届出書を厚生労働大臣に提出しないで、A社と「請負基本契約」との 名目で、少なくとも平成 26 年2月 20 日から平成 26 年6月 20 日までの間、自己の雇用する労働者 をA社の指揮命令の下で労働に従事させ、特定労働者派遣事業(いわゆる偽装請負)を行った疑いがある」とされたものです。

ところで、労働者派遣事業とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受け て、派遣先のために労働に従事させることを業として行うことをいいます。一方、請負とは、労働の結果としての仕事の完成を目的とするものであり、労働者派遣と異なり注文主と労働者との間に指揮命令関係を生じません。

本事例は、形式的には請負の名目でしたが、実態としては就労先の指揮命令下で就労しており、「偽装請負」の典型的なケースと言えます。現在国会で議論されている労働者派遣法改正案では、現在の特定労働者派遣制度の廃止が盛り込まれていますが、本制度が廃止された後の対応の一つとして請負を利用する場合には、今回のようなケースを十分に念頭に置く必要があるでしょう。

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※今回の記事は労働法令違反事例をもとに実務対応について検討することを目的としているため、企業名等が記載されているニュースソースへのリンクは掲載しません。ご了承ください。

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