今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 事業所調査で、初めて正社員以外の非正規雇用の割合が4割に達したとする調査結果が公表された
  • 正社員以外の労働者を活用する理由(複数回答)では、「賃金の節約のため」が最も高く、次いで「1 日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」、「即戦力・能力のある人材を確保するため」となっている

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厚生労働省が平成26 年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の結果を取りまとめ、公表しました。すでに、新聞等では、非正規雇用者の割合が4割に達したなど報道されていますが、当サイトでも概要を取り上げてみたいと思います。

事業所調査によれば、 3年前と比べて正社員以外の労働者比率が「上昇した」事業所は14.1%、「低下した」事業所は14.2%でした。なお、正社員数が「減った」とする事業所割合が27.2%、「増えた」が20.6%、「変わらない」が50.5%となっており、会社としては、正社員を絞ってきていることが読み取れます。

次に、正社員以外の労働者比率が上昇した事業所について、比率が上昇した就業形態(複数回答)をみると、「パートタイム労働者」が59.3%、次いで「嘱託社員(再雇用者)」が21.6%でした。この結果を見ると、平成25年の高年齢者雇用安定法により、原則65歳までの雇用確保措置が義務付けられたことも、非正規雇用者の数に影響を与えていることも考えられます。

正社員以外の労働者を活用する理由(複数回答)では、「賃金の節約のため」が38.6%と最も高く、次いで「1 日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」32.9%、「即戦力・能力のある人材を確保するため」30.7%などとなっています。この結果から、賃金の節約のために企業は非正規雇用を増やし続けているという論調も見られるところですが、民営事業所について前回調査(平成22 年)と比較すると、「賃金節約のため」などでは前回に比べて低下しており、「即戦力・能力のある人材を確保するため」、「正社員を確保できないため」などでは上昇していることもふまると、自体はもう少し複雑なのではないでしょうか。

最後に、各種制度等の適用状況についてみておきましょう。

「正社員」では、「賞与支給制度」(86.1%、前回83.2%)、「退職金制度」(80.6%、前回78.2%)、「福利厚生施設等の利用」(54.2%、前回1.2%)、「財形制度」(48.3%、前回43.4%)、「自己啓発援助制度」(36.8%、前回31.5%)、「短時間正社員への転換制度」(9.4%、前回4.5%)で前回に比べて上昇しています。

一方、「正社員以外の労働者」では、「雇用保険」(67.7%、前回65.2%)、「健康保険」(54.7%、前回52.8%)、「厚生年金」(52.0%、前回51.0%)、「自己啓発援助制度」(10.1%、前回9.3%)、「短時間正社員への転換制度」(2.3%、前回1.2%)で前回に比べて上昇しています。

参考リンク

平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況(厚生労働省HP)

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