今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚労省が技能実習生の労働条件の確保・改善に関する主要なポイントをまとめたパンフレットを作成
  • 講習は雇用契約に基づいていないため、講習期間中に技能実習生に業務を行わせることは一切できない
  • 講習終了後、実習が開始されれば雇用関係が生じるため、一定の事項を示した労働条件通知書を交付するなど、労働条件を明示することが必要

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厚労省が技能実習生の労働条件の確保・改善に関する主要なポイントをまとめたパンフレットを作成しました。そこで、今回は本パンフレットを元に、技能実習生の労務管理のポイントをみていきましょう。

まず、技能実習では、入国後受入企業(企業単独型)又は監理団体(団体監理型)で原則2か月間の語学講習を実施します。

講習は、団体管理型の場合、受入れ団体(監理団体)が入国当初に、座学により行います。期間は、技能実習1号の活動時間全体の6分の1以上となっています(入国前に一定の講習を受講している場合には、12分の1以上に短縮されます )。技能実習1号の活動を1年間行う場合には、原則として2カ月以上(入国前に一定の講習を受講している場合は、1カ月以上)の講習を実施することになります。講習は雇用契約に基づいていないため、講習期間中に技能実習生に業務を行わせることは一切できません。

講習終了後、実習が開始されれば雇用関係が生じます。したがって、一定の事項を示した労働条件通知書を交付するなど、労働条件を明示しなければなりません。母国語など技能実習生が理解できる方法で行う必要があります。労働条件通知書は地方入国管理局に提出する書類となりますので、間違いの内容作成します。

雇用関係となった以上、労働法は全面的に適用されます。たとえば、賃金は、通貨で、受入れ企業から直接技能実習生に、その全額を、毎月1回以上、一定期日に支払わなければなりません。ただし法令で定められている税金、社会保険料や労使協定で定めた寮費や食費などは、賃金から控除することができます。

なお、ただし、具体的な使途を明らかにできない「管理費」などは、賃金控除協定を締結していたとしても、控除することはできません。また、「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」(平成24年11月 法務省入国管理局改訂) では、寮費や食費を控除する額は実費を超えてはならないこと、実習終了時の帰国旅費や受入れ団体が監理に要する費用を技能実習生に負担させてはならないとされています。

また、賃金は、最低賃金以上の額を払わなければなりません。たとえ、使用者と労働者が最低賃金額を下回る賃金で合意し、労働契約を締結しても、その賃金額は無効となり、最低賃金額で締結したものとみなされます。

このように、パンフレットでは、技能実習生の労務管理上、しばしば問題になるポイントについても解説しており、技能実習生を受け入れる事業主が、技能実習生の労働条件の確保・改善に取り組む上で参考になるものです。

なお、当事務所代表は、団体管理者研修の受講を修了しており、技能実習法に関する業務についても対応することができます。

参考リンク

技能実習生の労働条件の確保・改善のために(厚労省HP)

MORI社会保険労務士・行政書士事務所(千葉県千葉市中央区)では、日々生じる従業員に関する問題やちょっとした労働法に関する疑問、他社事例について、気軽に電話やメールで相談できる「労務相談」業務の依頼を受託しています。もちろん技能実習生に関するご相談、給与計算(年末調整)、労働・社会保険、就業規則、各種許認可業務等も対応します。

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