日本経済団体連合会が「2018年人事・労務に関する トップ・マネジメント調査結果」を公表しました。本調査は、その年の春闘の結果や、人事・労務に関するトッ プ・マネジメントの意識・意見などを調査するため、毎年実施されているものです。

本調査で注目されるのは、「副業・兼業」に関する方針です。結果によれば、兼業・副業については、「現在認めていない」が78.1%と、大多数の企業では認められていません。その理由としては、「社員の総労働時間が把握できない」が最も多く64.6%、「社員の健康確保が図れない」が54.5%などとなっています。長時間労働による弊害などが課題とされていると見られます。

しかし、厚労省は副業・兼業が広めたいとうスタンスです。昨年末、厚生労働省が策定した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、「裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以 外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討す ることが求められる。」とされています。

その一方で、兼業・副業を認める場合の「留意点」として「必要な就業時間の把握・管理や健康管理への対応、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務をどう確保するかという懸念への対応が必要である」とされています。 現状としては、ただちにこれらが解消されるとは思えませんので、いくら政府が旗振りをしても、副業・兼業が拡大するとはいえないのではないでしょうか。

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参考リンク

2018年人事・労務に関する トップ・マネジメント調査結果 (経団連HP、PDF)