最近公表された行政通達で、労基法関係法令違反について、労基署が外国人技能実習機構や公正取引員会、国土交通省など他の官庁との連携を強めています。

まず、労基法関係法令違反の背景に下請けたたき等がある場合を念頭に独禁法や下請法違反に関する通報制度です。すなわち、以下の1及び2のいずれにも該当する事案について、労基署は、公正取引委員会又は中小企業庁に通報することとされています。

  1. 労働基準監督機関において、下請事業者又は特定物流事業者に対する監督指導を実施した結果、労基法第 23 条、第 24 条、第 32 条、第 35 条若しくは第 37 条又は最賃法第4条違反が認められた事案
  2. 上記1の違反の背景に、① 親事業者による下請法第4条の違反行為、または②荷主による「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正 な取引方法」に該当するいわゆる「下請たたき」 に当たる行為が存在しているおそれのある事案

次に、建設業法違反が疑われるケースの通報制度です。すなわち、 以下の1及び2のいずれにも該当する事案について、通報対象となる建設業者が国土交通大臣の許可を受けた者であるときは国土交通省に通報することとするとされています。

  1. 労働基準監督機関において、下請負人に対する監督指導等を実施した結果、労基法第 23 条、第 24 条、第 32 条、第 35 条又は第 37 条若しくは最低賃金法第4条違反が認められた事案
  2. 1の違反の背景に、元請負人によるいわゆる「下請たた き」に当たる行為が存在しているおそれのある事案

最後に、技能実習生に関する労基署への通報制度です。

出入国管理機関及び外国人技能実習機構との相互通報制度については、出入国管理機関が作成する実習実施者等から失踪した技能実習生に係る聴取票について、法務大臣より法務省入国管理局に対し、同聴取票を端緒とする実習実施者等に対する実態調査を速やかに実施するよう指示があり、現在、出入国管理機関等において、同調査が行われているところです。この調査の結果、労働基準関係法令違反の疑いが認められる事案については、出入国管理機関等から労働基 準監督機関に通報されることから、これを受けた場合には、速やかに監督指導を実施すものとされました。

このように、中小事業主の労基法関係法令の取り締まりについては、表面的に法違反を指導・監督するだけでなく、その背景に下請けたたきが疑われるような場合には、それぞれの監督官庁に通報する運用がスタートしています。

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参考リンク

失踪した技能実習生の実習実施者等に対する監督指導の実施について(厚労省HP,PDF)

働き方改革の推進に向けた中小企業における労働条件の確保・改善に関する公正取引委員会・中小企業庁との通報制度等について(厚労省HP,PDF) 

働き方改革の推進に向けた建設労働者の労働条件の確保・改善に関する国土交通省との通報制度等について(厚労省HP,PDF)