65歳定年制は中小企業が先行
厚生労働省が、令和6年「高年齢者雇用状況等報告」(6月1日現在)の集計結果を公表しました。
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)では、65歳までの雇用の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう、企業に義務付けています。加えて、70歳までの就業機会の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」という雇用による措置や、「業務委託契約を締結する制度の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」という雇用以外の措置のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるように努めることを企業に義務付けています。
今回の集計結果は、従業員21人以上の企業237,052社からの報告に基づき、このような高年齢者の雇用等に関する措置について、令和6年6月1日時点での企業における実施状況等をまとめたものです。そのポイントについてみていきましょう。
第1に、高年齢者雇用安定法で義務付けられている65歳までの高年齢者雇用確保措置については、実施済みの企業は99.9%となっており、中小企業でも99.9%で、大企業では100.0%[0.1ポイント増加]でした。しかしその内容をみると、依然として「継続雇用制度の導入」により実施している企業が67.4%と大半を占めています。ただし、その割合は1.8ポイント減少しており、代わって、「定年の引上げ」により実施している企業は1.8ポイント増加し28.7%となりました。
次に、現在努力義務とされている70歳までの高年齢者就業確保措置については、実施済みの企業は31.9%で、2.2ポイント増加しました。特に特徴的なのは中小企業では32.4%なのに対して大企業では25.5%となっているところです。これは、大企業よりも人手不足や人材に悩まされている中小企業では、定年後も引き続き就業してもらう必要性が高い実情を表していると言えそうです。
なお、65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は32.6%で、1.8ポイント増加しました。なお、ここでも、大企業よりも中小企業のほうが61歳以上の定年制が導入されている割合が多い傾向が見られます。




