image099独立行政法人労働政策研究・研修機構(JIL)が「雇用調整の実施と雇用調整助成金の活用に関する調査」の結果を公表しました。

本調査の調査対象は、全国の事業所15,000所(リーマン・ショック後に雇用調整助成金を受給した事業所7,500所、受給していない事業所7,500所)であり、「回答事業所については、産業としては建設業や製造業、情報通信業などが相対的に多く、卸売・小売業や宿泊・飲食サービス業などは相対的に少なくなっており、また、小規模事業所が多くなっていることなどには留意が必要である」とされています。

ここでは、リーマンショック以降の雇用調整の状況について、みてみることにしましょう。

まず、上記対象企業のうち回答事業所において、「リーマン・ショック以降に雇用調整を実施した割合をみると、2009年に35.4%まで増大し、2010年33.6%、2011年32.1%と高い水準で推移した後、2012年26.1%、2013年20.0%と減少に向かった」とされています。

このような動きは日本の経済動向とリンクしているとみられ、近年の(ゆるやかな)回復基調の局面においては、雇用調整の実施企業が減少することは当然という風にいえます。

また、経済環境が良くなるにつれ、その実施方法もゆるやかなものとなっていることがわかります。すなわち、「実施された雇用調整の方法をみると(複数回答)、リーマン・ショック直後の2008年において、「残業規制」などとともに、一方で「非正規の雇い止め」や「非正規の解雇」、「希望退職の募集・解雇」といったハードな人員調整を実施した事業所もけっして少なくなかった中で、2009年以降は6~7割の非常に多くの事業所において「一時休業」が実施され、そうしたハードな人員調整の方法は穏やかなものになったことが窺われる」とされています。

しかし、2013年の調査結果でも「一時休業(1日単位)」を実施している割合は56.8%と5割を超えており、平成20年時点よりも高い水準となっています(もちろん調査対象が上記のとおりという要素もあるのですが)。なお、同年は以下「残業規制」32.6%、「休日の振替、夏季休暇等の休日・休暇の増加」22.0%となっています。

このように、雇用調整の現状は比較的ソフトな労働時間の抑制という従来型の調整方法にシフトしていることが分かる結果と言えます。

■関連リンク

雇用調整の実施と雇用調整助成金の活用に関する調査(JIL,HP)

 

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