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令和4年度のキャリアアップ助成金についてリーフレットとQ&Aが公開されました。今年度は、正社員転換コースに大きな改正が行われるため、早めに目を通しておくようにしたいものです。

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、取組を実施した事業主に対して助成する制度で、今年度は7コースが設けられていますが、中でも最も注目度が高いのが「正社員化コース」です。本コースでは、就業規則または労働協約その他これに準ずるものに規定した制度に基づき、有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合に助成されます。

正社員化コースの変更点はつぎのとおりです。

  1. 令和4年度の取組より、有期雇用労働者を無期雇用労働者に転換等した場合に係る助成措置を廃止
  2. 転換等した後の正規雇用労働者は、賞与または退職金制度の実施および昇給の実施が規定されている就業規則等が適用されていることが必要(令和4年10月以降の転換に適用)
  3. 正規雇用労働者への転換等した後に試用期間を設けている場合、正規雇用労働者に転換等したものと見做さない(令和4年10月以降の転換に適用)
  4. 転換前の雇用区分について、賃金の額又は計算方法が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等が6か月以上適用されていることが必要(令和4年10月以降の転換に適用)
  5. 令和3年12月21日に創設した「人材開発支援助成金の特定の訓練修了者を正社員化した場合の加算」の対象となる訓練を追加

2については、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が正社員に適用されることが明示的に分かるように就業規則等へ規定している必要があるとされています(①-1-Q-1。また、正社員転換後6か月の間に、賞与や昇給の実績がない場合でも、正社員に適用される就業規則等に「賞与または退職金制度」かつ「昇給」の規定を確認することができれば、支給対象となり得るとされています。

また、「昇給」については、賃金改定の規定(年1回賃金を見直す等)や降給の可能性のある場合であっても、就業規則等に客観的な昇給基準等の規定がある場合には、当該規定の運用により、支給対象となり得るとされています。ただし、「会社が必要と判断した場合には、会社は、賃金の昇降給その他の改定を行う。」などのように客観的な昇給基準等なく、賃金据え置きや降給の規定がある場合は支給不可とされます。一方、「昇給は勤務成績その他が良好な労働者について、毎年〇月〇日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は行わないことがある。 」のように客観的な昇給基準に基づき、賃金据え置きの規定をおいている場合は支給可とされます。

4についても注意が必要です。令和4年6月1日に就業規則を改正し、「賃金の額または計算方法が正社員と異なる雇用区分」の契約社員就業規則を作成した場合、令和4年3月1日雇い入れた契約社員を令和4年10月1日に正社員転換しても、4に該当し不支給となるわけです。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

キャリアアップ助成金(厚生労働省HP)