世界の年金事務所からvol008:葛飾年金事務所

前回取り上げた「被保険者資格の勤務期間要件(2月要件)の見直し」については、Q&Aも公開されていますので、以下で注目の内容についてみていきましょう。

まず基本的な考え方は次の通りです。

問2 2月以内の期間を定めて使用される者について、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」とは、具体的にどのような場合か。
(答) 最初の雇用契約の期間が2月以内であっても、次の(ア)又は(イ)に該当する場合は、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」に該当するものとして、最初の雇用契約に基づき使用され始めた時に被保険者資格を取得することになります。
(ア)就業規則や雇用契約書その他の書面において、その雇用契約が「更新される旨」又は「更新される場合がある旨」が明示されていること。
(イ)同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき使用されている者が、契約更新等により最初の雇用契約の期間を超えて使用された実績があること。
 ただし、(ア)又は(イ)に該当する場合であっても、2月以内で定められた最初の雇用契約の期間を超えて使用しないことについて労使双方が合意(※)しているときは、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」には該当しないこととして取り扱います。
(※)書面による合意(メールによる合意も含む。)が必要となります

では、途中で事情が変わったような場合はどのように考えればよいのでしょうか。たとえば、2月以内の期間を定めて使用された者で、2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれなかった者が、契約開始後に状況が変わり契約が更新されることが見込まれることになった場合には、契約の更新が見込まれるに至った日に被保険者資格を取得することになるとされています(問4)。

なお、逆の場合、すなわち、2月以内の期間を定めて使用された者で、雇用契約が更新されることが見込まれていたが、結果的に契約更新を行わないこととなった場合でも、契約期間の途中で被保険者資格は喪失しません(問 7)。

次に、2月以内の雇用契約の締結が、数日の間を空けて繰り返し行われる場合について、問12をみると、この場合でも、事業主と被保険者との間で次の契約更新の予定が明らかであるような事実が認められるなど、就労の実態に照らして事実上の使用関係が中断することなく存続していると判断できるときには、最初の雇用契約の期間から被保険者資格を取得することになるとされました。

次に派遣労働者の取り扱いについてみてみましょう。

問14 派遣労働者について、下記の例のように同一の派遣元事業所から複数の事業所に派遣される場合は「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」についてどのように判断するのか。
(例1)派遣元事業所との雇用契約でA社、B社に派遣された場合①
 A 社:8/1~9/末: 10h/週(更新無)
 B 社:8/1~9/末: 10h/週(更新可能性有)
(例2)派遣元事業所との雇用契約でA社、B社に派遣された場合②
 A 社:8/1~9/末: 10h/週(更新可能性有)
 B 社:8/1~9/末: 10h/週(更新可能性有)
(答) 複数の事業所に派遣される場合で、上記の例 1 のように一部の事業所への派遣期間のみが更新される可能性があるときは、派遣期間が更新される可能性がある事業所における就労形態が、被保険者資格の取得要件を満たす場合に被保険者資格を取得することになります。このため、A社における就労形態が問2(ア)及び(イ)のいずれにも該当しない場合には、派遣期間が更新される可能性があるB社の就労形態のみで判断することとなりますが、B 社における所定労働時間は週20 時間未満となるため、被保険者資格の取得要件は満たしません。一方、契約更新時にB社における所定労働時間が週20 時間以上となる場合は、契約更新時から被保険者資格の取得要件を満たすことになり、その時点から資格取得することとなります。
上記の例2は、A社及びB社の両方とも派遣期間が更新される可能性があることから、2社の所定労働時間を合算して判断することとなります。合算すると週20 時間以上となるため、8/1 から被保険者資格の取得要件は満たすこととなります。
※上記の取扱いは短時間労働者に限る取扱いではなく、通常の労働者の適用除外要件(4分の3未満要件)を判断する場合も同様の取扱いとなりますが、派遣労働者ではなく、単に複数の事業所に使用されている者(2以上勤務者)については、個々の事業所における雇用契約に基づき適用除外要件に該当するか否かを判断することになります。

2か所以上の事業所に派遣される場合の取り扱いです。実際には多くないと思いますが、労働者派遣事業者には社会保険の適正加入が許可基準に定められていますので、注意しなければなりません。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行(令和4年10月施行分)に伴う事務の取扱いに関するQ&A集の送付について(令和4年9月9日事務連絡)(厚生労働省HP、PDF)