世界の労働基準監督署からVOL001:茂原労働基準監督署

厚生労働省が平成30年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しました。今回は結果の概要についてみていきましょう。

はじめに、脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況ですが、請求件数は877件で、前年度比37件の増、支給決定件数は238件で前年度比15件の減となり、うち死亡件数は前年度比10件減の82件となりました。業種別(大分類)では、請求件数は「運輸業,郵便業」197件、「卸売業,小売業」111件、「製造業」105件の順で多く、支給決定件数は「運輸業,郵便業」94件、「宿泊業,飲食サービス業」32件、「製造業」28件の順に多くなっています。また、職種別(大分類)では、請求件数は「輸送・機械運転従事者」182件、「サービス職業従事者」115件、「専門的・技術的職業従事者」102件の順で多く、支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」88件、「サービス職業従事者」33件、「専門的・技術的職業従事者」21件の順に多くなっています。

年齢別では、請求件数は「50~59歳」297件、「60歳以上」267件、支給決定件数は「50~59歳」88件、「40~49歳」85件の順に多くなっています。このように 労災認定された脳・心臓疾患の件数は前年と比べて減少しましたが、依然として職種ではドライバー、年齢では中高年の従業員に多い傾向がみられます。

次に、精神障害に関する事案の労災補償状況についてみると、請求件数は1,820件で前年度比88件の増となり、うち未遂を含む自殺件数は前年度比21件減の200件、支給決定件数は465件で前年度比41件の減となり、うち未遂を含む自殺の件数は前年度比22件減の76件となりました。

業種別(大分類)では、請求件数は「医療,福祉」320件、「製造業」302件、「卸売業,小売業」256件の順に多く、支給決定件数は「製造業」82件、「医療,福祉」70件、「卸売業,小売業」68件の順に多くなっています。また、職種別(大分類)では、請求件数は「専門的・技術的職業従事者」457件、「事務従事者」392件、「サービス職業従事者」231件の順に多く、支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」118件、「販売従事者」62件、「事務従事者」と「サービス職業従事者」59件の順に多くなっています。

年齢別では、請求件数は「40~49歳」597件、「30~39歳」491件、支給決定件数は「40~49歳」145件、「30~39歳」122件となっており、脳・心臓疾患に比べて若い年齢に多いことがわかります。

近年過重労働防止対策への意識が高まっているものの、依然として少なくない過労死が発生しています。今回のようなデータで傾向をつかんだうえで、優先的な施策を行うことも考えられます。

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参考リンク

平成30年度「過労死等の労災補償状況」を公表します(厚労省HP)