• 経済産業省とIPAがIT人材の給与等の実態について、IT関連企業とIT人材の双方に対してアンケート調査実施し、その調査報告書を公表した
  • 我が国のIT関連企業では、米国のような 30 代の年収水準がピークとなる成果主義的な給与カーブにはなっておらず、年功的な右肩上がりの給与カーブになっていた
  • 年功の給与に与える影響について、企業側と労働者側での認識のギャップがあることもわかった

経済産業省と(独)情報処理推進機構(IPA)が、今後我が国産業の成長にとって重要な役割を担うことが期待されるIT人材の給与等の実態について、IT関連企業とIT人材の双方に対してアンケート調査実施し、その調査報告書を公表しました。

この調査で判明したことは、我が国のIT関連企業では、米国のような 30 代の年収水準がピークとなる成果主義的な給与カーブにはなっておらず、年功的な右肩上がりの給与カーブになることです。また、「能力・成果重視」型企業群において最高水準を達成している人材では、30 代までの早い時期から年収水準が高くなるが、年収の絶対額・年功型企業群との比較の双方の観点から見て、突出した給与水準が設定されているわけではないことなどが判明したとされました。

このように、IT関連企業であっても、その多くでは、成果主義的な給与ではなく、年功的な給与カーブになっていることが明らかになりました。

実際、IT 人材の給与決定にあたっての企業側の重視事項について、7つの項目を設定し、社内で最高水準の年収を実現している人材について、年齢別にその要因を調査したところ、キャリア前半の 25 歳 35 歳時の実務的技術から、キャリア後半の 45 歳 55歳時のマネジメント能力へと切り替わっていることなどが判明したとされています。

ただし、この原因と結果の順番は必ずしも明らかではありません。つまり、年功的な運用が先にあるのか、マネジメント能力を評価しようとする基準が先にあるのかは、この調査では結論できないと考えられます。

なお、年功の給与に与える影響について、企業側は「小さい」と回答した企業が約57%と最多になっている一方、個人の回答では、「年功序列がベースだが、能力や成果によってある程度違いがある」との回答が約46%で最も多く、「年功序列がベースだが、能力や成果による違いが大きい」が25%と続いており、企業の意図と従業員の受け止め方にも差があることが明らかになっています。

参考リンク

IT関連産業の給与等に関する実態調査結果を取りまとめました(経済産業省HP)

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