R8障害福祉サービス処遇改善加算の概要②
前回に引き続き、障害介護職員処遇改善加算についてみていきましょう。今回は、加算の要件を取り上げます。
就労移行支援等別紙1表1-1および表1-2に掲げる障害福祉サービス等事業所については、処遇改善加算Ⅰ(令和8年4月及び5月に限ります。)および処遇改善加算Ⅰイ(令和8年6月以降に限ります。)の算定に当たっては、前回の記事に規定する賃金改善の実施に加え、以下の①~⑦に掲げる要件を全て満たすこととされています。また、処遇改善加算Ⅱ(令和8年4月及び5月に限ります。)および処遇改善加算Ⅱイ(令和8年6月以降に限ります。)については⑥の要件、処遇改善加算Ⅲについては⑤・⑥の要件、処遇改善加算Ⅳについては④~⑥の要件を満たさなくても算定することができます。つまり、処遇改善加算Ⅳは①~③・⑦、処遇改善加算Ⅲは①~④・⑦、処遇改善加算Ⅱは①~⑤・⑦を満たせば算定することができることになります。
また、処遇改善加算Ⅰロ(令和8年6月以降に限ります。)の算定に当たっては、処遇改善加算Ⅰイの算定要件に加えて⑧の要件を、処遇改善加算Ⅱロ(令和8年6月以降に限ります。)の算定に当たっては、処遇改善加算Ⅱイの算定要件に加えて⑧の要件を満たすこととされました。
- 月額賃金改善要件(月給による賃金改善)
- キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)
- キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)
- キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等)
- キャリアパス要件Ⅳ(改善後の年額賃金要件)
- キャリアパス要件Ⅴ(配置等要件)
- 職場環境等要件
- 令和8年度特例要件
では、それぞれの要件についてみていきましょう。
①月額賃金改善要件
処遇改善加算Ⅳの加算額の2分の1以上を基本給等の改善に充てることとされています。また、処遇改善加算Ⅰ~Ⅲの区分の処遇改善加算を算定する場合にあっては、仮に処遇改善加算Ⅳを算定する場合に見込まれる加算額の2分の1以上を基本給等の改善に充てることとされています。
なお、新規に処遇改善加算を算定し始める場合を除き、本要件を満たすために、賃金総額を新たに増加させる必要はありません。したがって、基本給等以外の手当または一時金により行っている賃金改善の一部を減額し、その分を基本給等に付け替えることで、本要件を満たすこととして差し支えありません。また、既に本要件を満たしている障害福祉サービス等事業所においては、新規の取組を行う必要はありません。ただし、この要件を満たすために、新規の基本給等の引上げを行う場合、当該基本給等の引上げはベースアップにより行うことが基本となります。
②キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)
次の1から3までを全て満たすことが必要です。
- 職員の任用の際における職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件(賃金に関するものを含む。)を定めていること。
- 1に掲げる職位、職責、職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。
- 1・2の内容について就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全職員に周知していること。ただし、常時雇用する者の数が10人未満の事業所など、労働法規上の就業規則の作成義務がない障害福祉サービス等事業所においては、就業規則の代わりに内規等の整備・周知により上記3の要件を満たすことができます。また、令和8年度においては、処遇改善加算の申請時点において、⑧の令和8年度特例要件を満たす障害福祉サービス等事業所に限り、処遇改善計画書において令和9年3月末までに上記1・2の定めの整備を行うことを誓約した場合は、処遇改善加算の申請時点からキャリアパス要件Ⅰを満たしているものとして取り扱うこととされます。当該誓約をした場合は、令和9年3月末までに当該定めの整備を行い、実績報告書においてその旨を報告する必要があります(以下下線部の問扱いを「令和8年特例」といいます)。
③キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)
次の1・2を満たすこと。
- 職務内容等を踏まえ、職員と意見を交換しながら、資質向上の目標および以下のいずれかに掲げる事項に関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施または研修の機会の確保をしていること。
- 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等(OJT、OFF-JT等)を実施するとともに、福祉・介護職員の能力評価を行うこと。
- 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。
- 1について、全職員に周知していること。なお、令和8年特例が利用できます。
④キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等)
次の1および2を満たすこととされています。
- ⓐ経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組み、またはⓑ一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みとして、次のいずれかに該当する仕組みであることが必要です。
- 「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組み
- 介護福祉士等の資格の取得や実務者研修等の修了状況に応じて昇給する仕組み(別法人等で介護福祉士等の資格を取得した上で当該事業者や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることが必要です。)
- 「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき定期的に昇給する仕組み(客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることが必要です。)
- 1の内容について、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての福祉・介護職員に周知していることが必要です。
- 常時雇用する者の数が10人未満の障害福祉サービス等事業所など、労働法規上の就業規則の作成義務がない事業所においては、就業規則の代わりに内規等の整備・周知によりこの要件を満たすこととしても差し支えないとされています。なお、令和8年特例が利用できます。
⑤キャリアパス要件Ⅳ(改善後の年額賃金要件)
経験・技能のある福祉・介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金の見込額が年額460万円以上であることが必要です(処遇改善加算による賃金改善以前の賃金が年額460万円以上である者を除く。)。また、キャリアパス要件Ⅳについては、後述する「⑦職場環境等要件」において、全体から14以上の取組を実施している場合は、要件を満たしているものとされます。なお、後者について令和8年特例が利用できます。
⑥キャリアパス要件Ⅴ(配置等要件)
福祉専門職員配置等加算(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護にあたっては特定事業所加算)の届出を行っていることが必要です。なお、重度障害者等包括支援、施設入所支援、短期入所、就労定着支援、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援にあっては配置等要件に関する加算が無いため、配置等要件は不要です。
⑦職場環境等要件
処遇改善加算を算定する場合は、下表に掲げる処遇改善の取組を実施することが必要です。

処遇改善加算ⅠまたはⅡおよび処遇改善加算Ⅰイ、Ⅰロ、Ⅱイ又はⅡロを算定する場合は、上表の「入職促進に向けた取組」、「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」、「両立支援・多様な働き方の推進」、「腰痛を含む心身の健康管理」および「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに2以上の取組を実施する必要があります。
また、処遇改善加算ⅢまたはⅣを算定する場合は、上記の区分ごとに1以上の取組を実施するとともに全体で8以上の取組を実施する必要があります。
処遇改善加算ⅠまたはⅡおよびⅠイ、Ⅰロ、ⅡイまたはⅡロを算定する場合は、同表中「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」のうち3以上の取組(うち⑱は必須)を実施し、処遇改善加算ⅢまたはⅣを算定する場合は2以上の取組を実施する必要があります。
ただし、1法人あたり1の施設又は事業所のみを運営するような法人等の小規模事業者は、㉔の取組を実施していれば、この要件を満たすものとする。
さらに、処遇改善加算ⅠまたはⅡおよび処遇改善加算Ⅰイ、Ⅰロ、ⅡイまたはⅡロを算定する場合は、職場環境等の改善に係る取組について、ホームページへの掲載等により公表する必要があります。たとえば、障害福祉サービス等情報公表制度を活用し、処遇改善加算の算定状況を報告するとともに、職場環境等要件を満たすために実施した取組項目及びその具体的な取組内容を記載することなどが考えられます。このほか、各事業者のホームページを活用する等、外部から見える形で公表することが必要です。
なお、令和8年特例が利用できます。



