ストレスチェック制度Q&A③
Q11-1 高ストレス者の選定に関して、プログラムの自動判定結果で高ストレスと出た場合は、医師の判断を経ずに面接指導の対象者としても良いのでしょうか。実施者の判断があったかどうかを残しておく必要があるのでしょうか。
A 高ストレス者の判定は自動的に行ってもよいですが、面接指導が必要かどうかは改めて実施者の判断が求められます。その際には、実施者が判断したことが分かる記録を残しておくことが望ましいです

高ストレス者の選定と面接指導が必要かどうかは「実施者」の判断が必要なので、両者は分けて考える必要があります。つまり、「面接指導の対象者は、事業場で定めた選定基準に基づいて選定した高ストレス者について、実施者が判断」しますので、「補足的に面談を行った場合などについては、その面談結果を参考にして実施者が絞り込む場合があり得ますし、高ストレス者全員をその評価結果を実施者が確認の上で面接指導対象者とする場合もあり得ます」とされています(Q&A12ー2)。さらに、「実施者である産業医や保健師が、高ストレス者に対して、まずは通常の産業保健活動の一環として面談を実施し、その結果をもとに実施者が、中で労働安全衛生法に基づく医師の面接指導の対象者とすべき労働者を選定する方法も可能」とされています(Q&A12-6)
Q11-2 ストレスチェックでは面接指導対象者と選定されなかった労働者が面接指導を申し出た場合、どうすればよいのでしょうか。
A 面接指導を実施する対象者としての要件に該当しなかった労働者から申出があった場合は、法令上、事業者に面接指導を行う義務はありません。その場合に面接指導を実施するか否かについては、事業場ごとに取扱いを定めて対応していただきたいと思います。
面接指導対象者と選定されなかった場合には、本人からの申出があったとしても、実施する義務はありませんが、なんらかの問題を抱えていることも考えられますので、産業保健スタッフによる面談等を行うことが望ましいでしょう。
Q13-2 面接指導の結果報告書や意見書を事業者に提出するに当たって、労働者本人の同意を得る必要はないのでしょうか。
A 面接指導を踏まえた就業上の措置に関する医師の意見については、必要な情報に限定すれば本人の同意が無くても事業者に伝えることができる仕組みですが、円滑に行うためには、面接指導にあたり事前に本人にその旨説明し、了解を得た上で実施することが望ましいです。また、医師が面接指導で聴取した内容のうち、詳細な内容を除いて、労働者の安全や健康を確保するために事業者に伝える必要がある情報については、事業者が適切な措置を講じることができるように事業者に提供しますが、事業者への意見提出においては労働者本人の意向への十分な配慮が必要です。
面接指導をふまえた就業上の措置に関する医師の意見を事業者に伝えることは、本人の同意の取得は義務とされてはいません。
Q15-3 10人を下回る集団でも労働者の同意なく集計・分析できる方法とは、どういう方法なのでしょうか。
A 個々の労働者が特定されるおそれがないような方法で実施することが考えられます。例えば、ストレスチェックの評価点の総計の平均値を求める方法などが考えられます。具体的に、集団ごとの集計・分析を、どのような方法で実施するかについては、衛生委員会等で調査審議した上で決めていただきたいと思います。
集団ごとの集計・分析結果は、労働者の同意を取らなくても、実施者から事業者に提供することができますが、集計・分析の単位が10人を下回る場合には個人が特定されるおそれがあることから、個人特定につながらない方法でない限りは、集計·分析の対象となる労働者全員の同意がなければ、事業者に提供することはできないとされています。具体的には、①ストレスチェックの評価点の総計の平均値を求める方法、②仕事のストレス判定図を用いる方法などがあります。
Q16-3 ストレスチェックの結果、「高ストレス者が何人いたか」「面接指導の対象者が何人いたか」のデータを実施者から事業者が取得してよいのでしょうか。
A 集団内の高ストレス者や面接指導対象者の人数自体は、個人情報には当たらないため、事業者による取得に特段の制限はかかりませんが、小さな集団の内数など、個人が特定されるおそれがある場合は、実施者から取得することは望ましくありません。こうした情報を事業者が取得する場合は、あらかじめ衛生委員会等で取得目的、共有範囲、活用方法等について調査審議を行い、その内容について労働者に周知していただく必要があります。
氏名、年齢、所属部署などを削除し、個人が識別できない状態であれば、個人情報にあたらないため、事業者が取得することは可能です。
Q16-4 ストレスチェック制度に関する情報の開示請求について、本人から事業者に開示請求を行った場合、医師の意見も含めて、医師による面接指導結果は全て開示するのでしょうか。
A 個人情報保護法第28条第1項の規定により、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示を求められたときは、本人に対し、当該保有個人データを開示しなければなりませんが、開示することにより、①本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合、②当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、③他の法令に違反することとなる場合、のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができます。このため、面接指導結果については、本人から開示の請求があった場合は、原則として開示する必要がありますが、面接指導結果の中には、業務との関連性に関する判断や、就業上必要と思われる措置に関する意見、職場環境の改善に関する意見なども含まれており、本人に開示することにより、本人、面接指導を行った医師、事業者の間の関係が悪化するなど、これらの者の利益を害するおそれがある場合や、症状についての詳細な記載があって、本人に十分な説明を行ったとしても、本人に重大な心理的影響を与え、その後の対応に悪影響を及ぼす場合なども考えられますので、結果に記載されている内容に応じて、どこまで開示するべきかを個別に判断する必要があります。
本人から医師の意見も含む面接指導の結果について開示請求があった場合は、原則として開示に応じなければならないこととされています。ただし、一定の例外があることにも留意してください。ここでは、上記①から③までに該当する場合は全部または一部の不開示も可能としたうえで、「本人に開示することにより、本人、面接指導を行った医師、事業者の間の関係が悪化するなど、これらの者の利益を害するおそれがある場合」を例示しています。
19-1 労働基準監督署への報告対象について、通常の産業医面談で終了し、ストレスチェック後の法定の面談に移行しなかった場合は、ストレスチェック制度による医師面談に該当せず、報告の必要はないということでしょうか。
A 報告いただくのは法第66条の10に基づく面接指導の実施人数であり、通常の産業医面談の人数ではありません。
ストレスチェック制度の実施にかかる労基署に必要な報告については、法定の面談の実施人数です。
Q19-3 ストレスチェックに関する労働基準監督署への報告については罰則があるのでしょうか。また、50人未満の事業場においてストレスチェックを実施した場合には報告義務はあるのでしょうか。
A 労働基準監督署への報告は労働安全衛生法第100条に基づくものであり、違反の場合には罰則があります。50人未満の事業場については、報告義務はありません。
ストレスチェック制度実施義務のある事業場にかかる報告を怠った場合には罰則があることに留意してください。
Q21-1 労働者がストレスチェック結果の提供に同意せず、面接指導の申出もしないために、企業側が労働者のストレスの状態やメンタルヘルス上の問題を把握できず、適切な就業上の配慮を行えず、その結果、労働者がメンタルヘルス不調を発症した場合の企業の安全配慮義務についてはどのように考えればよいのでしょうか。
A 安全配慮義務については、民事上の問題になりますので、司法で判断されるべきものであり、行政から解釈や考え方を示すことはできません。 なお、労働契約法では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」とされており、また、労働者のストレスの状態やメンタルヘルス上の問題の把握は、ストレスチェック以外の機会で把握できる場合も考えられますので、ストレスチェック結果が把握できないからといって、メンタルヘルスに関する企業の安全配慮義務が一切なくなるということはありません。
ストレスチェック結果が把握できなかったとしても、それだけで安全配慮義務がなくなるわけではありません。



