令和5年度ハラスメント実態調査
令和5年度厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書が公表されました。この調査は、令和2年度に実施した職場のハラスメントに関する実態調査から3年が経過し、ハラスメントの対策に取り組む企業やハラスメントを受けている労働者の状況も変化していると考えられることから実施されたものです。
まず、労働者におけるハラスメント被害を受けた経験についてみると、過去3 年間に勤務先でパワハラ、セクハラ、顧客等からの著しい迷惑行為を受けた割合は、それぞれ19.3%、6.3%、10.8%でした。令和2年の調査では、それぞれ31.4%、10.2%、15.0%でしたので、この3年間でその割合は減少しました。また、過去5年間に就業中に妊娠/出産した女性労働者の中で、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は、26.1%、過去5年間に勤務先で育児に関わる制度を利用しようとした男性労働者の中で、育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は、24.1%でした。令和2年の調査では、それぞれ26.3%、26.2%でしたので、こちらはあまり変わらない結果でした。
次にパワハラ、セクハラを受けた後の行動としては、「何もしなかった」(それぞれ36.9%、51.7%)が最も多く、顧客等からの著しい迷惑行為については、「社内の上司に相談した」(38.2%)が最も多い回答でした。このように加害者が社内か社外かで、上司などへの相談のしさゆさが異なるようです。
ハラスメントを知った後の勤務先の対応としては、パワハラとセクハラでは「特に何もしなかった」が最も高い結果でした(それぞれ53.2%と42.5%)。この結果から、ハラスメントがあったからといって、従業員が誰にも相談せず抱え込んでしまうことが多いことには留意するべきです。また、「相談がないからハラスメントはない」と認識することは、必ずしも妥当ではありません。
次に、いわゆるカスタマーハラスメントにあたる「顧客等からの著しい迷惑行為」については「あなたの要望を聞いたり、問題を解決するために相談にのってくれた」(39.2%)が最も高い結果でした。社外からのハラスメントについては、比較的相談しやすいといえますが、割合は決して高いとは言えない水準です。
一方、企業の対応としては、ハラスメントの種類を問わず、予防・解決のために実施している取組として、「相談窓口の設置と周知」の割合が最も高く、次いで「ハラスメントの内容、職場におけるハラスメントをなくす旨の方針の明確化と周知・啓発」であった。前者は約7割以上の企業が、後者は約6割以上の企業が、各ハラスメントに対して実施していました。

このように、多くの企業で相談窓口の設置や方針の周知、就業規則等への規定は行われていますので、今後は、その実効性を確保することが課題と言えるでしょう。



