令和6年度過労死の労災補償状況
厚生労働省が令和6年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しました。
厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、労災保険給付の支給決定件数などを、平成14年以降年1回取りまとめています。
なお、請求件数は、令和6年度中の労災保険給付の請求件数ですが、必ずしも同年度中に決定(支給・不支給)されているものではありません。また、支給決定件数は、令和6年度中に「業務災害」または「複数業務要因災害」と認定した件数で、令和6年度以前に請求があったものが含まれます。複数業務要因災害の請求は業務災害の請求と区別されずに行われることから、請求件数は区分して集計していません。
業務災害に係る脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況については、請求件数は1,030件で、前年度比7件増加しました(うち死亡件数は前年度比8件増の255件)。このうち、支給決定件数は241件で前年度比25件の増加(うち死亡件数は前年度比9件増の67件)しました。ただし、決定件数に対する支給決定件数の割合は約30%で、近年のそれと比べると微減しているといえます。

脳・心臓疾患に関する事案の労災補償の業種別の傾向は、請求件数は「運輸業、郵便業」213件、「卸売業、小売業」150件、「建設業」128件の順で多く、支給決定件数は「運輸業、郵便業」88件、「宿泊業、飲食サービス業」28件、「製造業」24件の順に多い結果でした。また、年齢別にみると、請求件数は「50~59歳」411件、「60歳以上」348件、「40~49歳」213件の順で多く、支給決定件数は「50~59歳」129件、「40~49歳」60件、「60歳以上」44件の順に多い結果でした。
次に、業務災害に係る精神障害に関する事案の労災補償状況についてみると、請求件数は3,780件で前年度比205件の増加(うち未遂を含む自殺の件数は前年度比10件減の202件)、支給決定件数は1,055件で前年度比172件の増加(うち未遂を含む自殺の件数は前年度比9件増の88件)でした。

業種別の傾向をみると、請求件数は「医療、福祉」983件、「製造業」583件、「卸売業、小売業」545件の順で多く、支給決定件数は「医療、福祉」270件、「製造業」161件、「卸売業、小売業」120件の順に多い結果でした。また、年齢別の傾向をみると、請求件数は「40~49歳」1,041件、「30~39歳」889件、「50~59歳」870件の順で多く、支給決定件数は「40~49歳」283件、「30~39歳」245件、「20~29歳」243件の順に多い結果でした。「脳・心臓疾患」は中高年に多く、「精神障害」は20代から40代が多い傾向は継続的に見られます。
このように過重労働による脳・心臓疾患や精神障害は、請求件数が増加傾向にあり、それにともなって支給決定件数も増加しています。企業としては、これまで以上に過労死等の防止するための対応が求められるといえるでしょう。



