厚労省で検討されているカスハラ対策措置

現在、労働政策審議会雇用環境・均等分科会(厚労省の審議会)でカスタマーハラスメント対策の強化が検討されています。そこで、今回は同会の報告書案をもとに、どのような措置が議論されているのかみていくことにしましょう。

報告書案では、カスタマーハラスメントを労働者の就業環境を害するものであり、労働者を保護する必要があることから、その対策について、事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当とされました。したがって、カスハラは、セクハラ・パワハラ・マタハラ・ケアハラにつづく5つめの防止措置が法令により義務づけられる見込みです。

その上で、現行法に規定されている4種類のハラスメントの例に倣い、対象となる行為の具体例やそれに対して事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な内容が、指針において明確化することが適当とされました。

カスタマーハラスメントの定義については、「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書」において示されている考え方を踏まえ、以下の3つの要素をいずれも満たすものとし、それぞれについて以下に掲げる事項を指針等で示されることになりそうです。

  1. 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと。
    • 「顧客」には、今後利用する可能性がある潜在的な顧客も含むと考えられることとされています。
  2. 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること。
    • 権利の濫用・逸脱に当たるものをいい、社会通念に照らし、当該顧客等の言動の内容が契約内容からして相当性を欠くもの、または、手段・態様が相当でないものが考えられることとされています。
  3. 労働者の就業環境が害されること。
    • 労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどの、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを意味することとされています。

なお、東京都のカスタマーハラスメント防止条例では、「①顧客等から就業者に対し、②その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、③就業環境を害するものをいう」とされており、②については、「暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為」とされています。

分科会の報告書案によれば、指針等においては、パワーハラスメント防止指針等の内容を踏まえつつ、カスタマーハラスメントの行為者が顧客や取引先等の第三者であるということを考慮した上で、講ずべき措置の具体的な内容として、次の事項が挙げられています。これらは概ねこれまでのハラスメント対策に準じたものになりそうです。

  • 事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
  • 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • カスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応(カスタマーハラスメントの発生を契機として、カスタマーハラスメントの端緒となった商品やサービス、接客の問題点等が把握された場合には、その問題点等そのものの改善を図ることも含む。)
  • これらの措置と併せて講ずべき措置

カスタマーハラスメントについては、その性質から他の事業主から協力を求められた場合の対応に関する規定も設けられる見込みです。すなわち、カスタマーハラスメントについて、事業主は、他の事業主から当該事業主の講ずる雇用管理上の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならない旨が法律で規定することが適当とされました。

また、カスタマーハラスメントについても、事業主が、他の事業主から雇用管理上の措置への協力を求められたことを理由として、当該事業主に対し、当該事業主との契約を解除する等の不利益な取扱いを行うことは望ましくないものであることを、指針等に明記することが適当とされました。

さらに、協力を求められた事業主は、必要に応じて事実関係の確認等を行うことになりまが、その際に協力した労働者に対して不利益取扱いを行わないことを定めて労働者に周知することや、事実関係の確認等の結果、当該事業主の労働者が実際にカスタマーハラスメントを行っていた場合には、就業規則等に基づき適正な措置を講ずることが望ましい旨を、指針等に明記することが適当とされました。

このように、カスタマーハラスメントは加害者が協力会社や取引先等の関係会社である場合もありますので、解決のため、他の事業主にも協力義務が設けられる見込みです。

さらにカスタマーハラスメントの防止に向けて、国は、消費者教育施策と連携を図りつつ、カスタマーハラスメントは許されないものである旨の周知・啓発を行うことが適当とされました。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

第78回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(厚生労働省HP)

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