同一労働同一賃金ガイドライン見直し案①
第27回労働政策審議会職業安定分科会雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会で同一労働同一賃金ガイドラインの「見直し案」が示されました。そこで、以下では見直された部分のうち、重要と思われる部分についてみていきましょう。
目的に次の文章が追記されました。
通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間の不合理と認められる待遇の相違の解消等に当たっては・・・、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨が明確化されていること等も踏まえこの指針に基づき、客観的及び具体的な実態に照らして対応することが求められる。
これは、労働条件の不合理な待遇の相違の解消にあたって、個々の待遇ごとに判断されるべきことを示したものと思われます。
〔労使による待遇の体系についての〕議論に当たっては、時間・有期雇用労働者及び派遣労働者の意向を十分に考慮した上で、不合理と認められる待遇の相違の解消等の取組を進めることが望ましいことや、当該取組が当該労働者の自らの待遇に対する納得性の向上にも資することに留意すべきである。
不合理と認められる待遇の相違の解消等に当たっては、次の事項について留意すべきである。
この部分は、労使コミュニケーションの重要性に関する記載とされています。
(2) 通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に賃金その他の待遇の決定基準・ルールの相違がある場合等の取扱い
通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に基本給、賞与、各種手当等の賃金その他の待遇に相違がある場合において、その要因として通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の待遇の決定基準・ルールの相違があるときであっても、当該待遇の相違は短時間・有期雇用労働法第8条の適用を受けるものであるが、その相違については、「通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で将来の役割期待が異なるため、待遇の決定基準・ルールが異なる」等の主観的又は抽象的な説明では足りず、待遇の決定基準・ルールの相違は、短時間・有期雇用労働法第8条の規定に基づき、客観的及び具体的な実態に照らして、不合理と認められるものであってはならない。派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間の待遇の相違の要因として派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者の待遇の決定基準・ルールの相違があるときも同様である。
この部分は、不合理と認められる待遇の相違の解消等に当たっての留意点の一つとして挙げられているもので、基本給に係る項目の注から移設し、賃金に限らず待遇全般に関する内容である旨を明確化する記載を追記したものとされています。すなわち、待遇の決定基準・ルールの相違は、主観的・抽象的な説明では足りず、客観的・具体的な実態に照らして、不合理と認められるものであってはならないとされています。
(3) 不合理と認められる待遇の相違の解消等に当たり、就業規則の変更により労働条件を変更する場合の留意事項
短時間・有期雇用労働法及び労働者派遣法に基づく通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間の不合理と認められる待遇の相違の解消等の目的は、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者の待遇の改善であり、その目的に鑑みれば、当該待遇の相違の解消等に当たっては、通常の労働者の労働条件を不利益に変更することなく、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者の労働条件の改善を図ることが求められる。
その上で、事業主が、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間の不合理と認められる待遇の相違の解消等に対応するため、やむを得ず、就業規則を変更することにより、その雇用する労働者の労働条件を不利益に変更する場合、労働契約法・・・第9条の規定に基づき、原則として、労働者と合意する必要がある。(以下略)
非正規雇用の不合理な労働条件の相違の解消のために、正社員の労働条件を不利益に変更する裁判例があったことなどをふまえて、追加されたものと思われます。
短時間・有期雇用労働法第8条において、事業主は、短時間・有期雇用労働者の待遇のそれぞれについて、・・・、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情の違いに応じた均衡のとれた待遇とすることが求められている。
この部分は、ハマキョウレックス最高裁判決を踏まえて追記されたものとされています。

短時間・有期雇用労働法第8条におけるその他の事情の取扱い
短時間・有期雇用労働法第8条におけるその他の事情については、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲に関連する事情に限定されるものではない。職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、事業主と労働組合や過半数代表者等との間の交渉といった労使交渉の経緯や結果等の諸事情がその他の事情として想定されるものであり、考慮すべきその他の事情があるときに考慮すべきものである。また、事業主が短時間・有期雇用労働法第 14 条第2項の規定に基づき通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の待遇の相違の内容及び理由について十分な説明を行わなかったと認められる場合や、事業主が待遇の体系に係る議論において短時間・有期雇用労働者の意向を十分に考慮せず一方的に短時間・有期雇用労働者の待遇を決定した場合には、当該事実も短時間・有期雇用労働法第8条におけるその他の事情に含まれ、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理と認められることを基礎付ける事情として考慮されうる。
この部分は、「その他の事情」に関する施行通達における記載等を追記したもので、具体的に「職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、事業主と労働組合や過半数代表者等との間の交渉といった労使交渉の経緯や結果等す。」が例示されています。



