同一労働同一賃金ガイドライン見直し案②
前回に続いて、同一労働同一賃金ガイドラインの改定案を見ていくことにしましょう。
2 定年に達した後に継続雇用された有期雇用労働者の取扱い
定年に達した後に継続雇用された有期雇用労働者についても、短時間・有期雇用労働法の適用を受けるものである。・・・。
さらに、有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用された者であることは、通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理と認められるか否かを判断するに当たり、短時間・有期雇用労働法第8条のその他の事情として考慮される事情に当たりうる。定年に達した後に有期雇用労働者として継続雇用する場合のそれぞれの待遇について、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる様々な事情が総合的に考慮されて、通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理と認められるか否かが判断されるものと考えられる。したがって、当該有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用された者であることのみをもって、直ちに通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理ではないと認められるものではない。〔下線は筆者〕
継続雇用者の同一労働同一賃金については、名古屋自動車学校事件最高裁判決で高裁に差し戻しされていますが、今後再上告される可能性もありますので、この裁判の動向にも注意が必要です。
「通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的で待遇を行う場合の取扱い
通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に基本給、賞与、各種手当等の待遇に相違がある場合において、その要因として当該待遇を行う目的に「通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があったとしても、当該待遇の相違が不合理と認められるか否かは、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の他の性質及び当該待遇を行う他の目的にも照らして適切と認められるものの客観的及び具体的な実態に照らして判断されるものであり、当該目的があることのみをもって直ちに当該待遇の相違が不合理ではないと当然に認められるものではない。〔下線は筆者〕
いわゆる「正社員人材確保論」だけで不合理性が待遇差が不合理ではないと当然に認められるものではない旨を明確化したものされています。
(注)
賞与については、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的として、労務の対価の後払い、功労報償、生活費の補助、労働者の労働意欲の向上等の様々な性質及び目的が含まれうるものであるが、通常の労働者と同様に短時間・有期雇用労働者にも当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当するにもかかわらず、短時間・有期雇用労働者に対し、通常の労働者との間の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの相違に応じた均衡のとれた内容の賞与を支給せず、かつ、その見合いとして、労使交渉を経て、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当しない他の短時間・有期雇用労働者に比べ基本給を高く支給している等の事情もない場合、当該賞与の相違は不合理と認められるものに当たりうることに留意すべきである。
長澤運輸事件最高裁判決を踏まえて追記されたものです。同判決は、賞与に関して不合理と認められる待遇の相違を具体的に判示したものではありませんが、賞与の性質・目的等について言及しており、当該内容を留意すべき事項として記載したものとされています。
なお、今回ガイドラインの改定で注目されている「退職手当」の追加についても、その性質・目的を「労務の対価の後払い、功労報償等の様々な性質及び目的が含まれうるものである」ことを確認したうえで、上記の賞与と同じように「待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当するにもかかわらず、・・・均衡のとれた内容の退職手当を支給」していない場合、不合理と認められるものに当たりうることとされています。



