子ども子育て支援金の試算
子ども・子育て支援金の負担については、3月に子ども家庭庁が試算を公表していましたが、この度新たに更新された資料が公開されました。
はじめに子ども・子育て支援納付金の充当事業について概観すると、児童手当(今般の拡充分に限る)、妊婦のための支援給付(出産・子育て応援給付金の制度化)、こども誰でも通園制度、共働き・共育てを推進するための経済支援)などがありますが、これらの事業を通じて子ども・子育て支援金制度の創設によるこども一人当たりの給付改善額(高校生年代までの合計)は約146万円と試算されています。なお、現行の平均的な児童手当額約206万円とあわせると、合計約352万円となります。

上表中の「加入者一人当たり」というのは、健康保険の被扶養者等も含んでいますので、実際に保険料を負担する「被保険者」の負担は、たとえば協会けんぽの被保険者であれば、令和10年には700円と試算されています。
上表の推計は、一定の仮定をおいて行ったものであり、結果は相当程度の幅をもってみる必要があるとされている点に留意が必要です。なお、金額は事業主負担分を除いた本人拠出分であり、被用者保険においては別途事業主が労使折半の考えの下で拠出されることになります。被用者保険間の按分は総報酬割であることを踏まえ、実務上、国が一律の支援金率を示すこととされています。
そして、上記の試算は令和10年度に被用者保険において拠出される8,900億円について、令和3年度の総報酬である222兆円で割ると0.4%であることから、労使折半の下、本人拠出を0.2%として計算されたものです。なお、政府が総力をあげて取り組む賃上げにより、今後、総報酬の伸びが進んだ場合には、数字が下がっていくことが想定されるとされるとされています。
次に、国民健康保険の1世帯当たりの金額は令和3年度における実態を基に計算すると、国民健康保険の支援金については、医療分と同様に低所得者軽減を行い、例えば夫婦子1人の3人世帯(夫の給与収入のみ)における一人当たり支援金額(50円丸め、月額、令和10年度)でみると、年収80万円の場合50円(応益分7割軽減)、同160万円の場合200円(同5割軽減)、同200万円の場合250円(同2割軽減)、同300万円の場合400円(同2割軽減)となっています。国保の被用者の世帯では、これらの層がボリュームゾーンであり、年収400万円以上については上位約1割と対象が限定されるため、以降はここでは省略します。
こども・子育て支援金については、しばしば、政府の説明として、既定予算の最大限の活用等を行うほか、2028 年度までに徹底した歳出改革等を行い、それによって得られる公費節減の効果および社会保険負担軽減の効果を活用するとされており、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより、実質的な負担が生じないとされています。
しかし、この点について、子ども家庭庁内の支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会では、「実質的な負担軽減を図る範囲内で支援金を創設するというのは、例えば社会保険に係る国民の負担として保険料をイメージしてくださって結構ですが、100という値だとして、高齢化が進むので黙っているとそれが120まで上がってしまう。それを何とか食い止めようということで努力して110にする。100よりは大きいのですが、120ではなく110にするので、10の隙間ができる。その範囲内で支援金を導入する」と説明されていますので、単純に負担が増えないとみることはできないようです。



