就活ハラスメント対策指針案の概要

第89回労働政策審議会雇用環境・均等分科会でいわゆる就活ハラスメント防止対策に関する指針案が示されました。この指針は求職活動等におけるセクシュアルハラスメントにより求職者等の求職活動等が阻害されることのないよう雇用管理上講ずべき措置等について、事業主が適切かつ有効な実施を図るために必要な事項について定めたものです。

指針案では、「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」は、事業主が雇用する労働者による性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されるものをいう。なお、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれるものである。また、被害を受けた者の性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、当該者に対する求職活動等におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となるものである」とされています。

ここで、「求職活動等」とは、求職者が行う求職活動や求職者に類する者が行う職業の選択に資する活動を指し、例えば以下のものが含まれるとされています。

  • 企業の採用面接への参加
  • 企業の就職説明会への参加
  • 企業の雇用する労働者への訪問
  • インターンシップへの参加
  • 教育実習、看護実習等の実習の受講

また、「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」とは、求職活動等において行われる求職者等の意に反する性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害され、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該求職者等が求職活動等を行う上で看過できない程度の支障が生じることとされており、指針案では、典型的な例として、次のようなものが挙げられています。

  • 少人数の説明会において、労働者が求職者等の腰、胸等に触ったため、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。
  • 企業が実施するインターンシップにおいて、労働者が求職者等に対して性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的に行ったため、当該求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと。
  • 企業が実施するインターンシップにおいて、性的な内容を含むポスターの掲示や画面の表示等を行っているため、求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと。
  • 面接中、面接官を務める労働者から性的な事実に関する質問を受け、求職者が苦痛に感じてその求職活動の意欲が低下していること。
  • 求職者等が労働者への訪問を行った際、当該労働者に性的な関係を求められ、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。
  • ヘ インターンシップ中に労働者が求職者等を執拗に私的な食事に誘い、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。

このような言動が許されないことはいうまでもありません。そこで、指針案では、事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置の内容を次のように定めています。

  1. 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
    • 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの内容及び求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
    • 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
    • 求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、これを労働者及び求職者等に周知・啓発すること
  2. 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
    • 相談窓口をあらかじめ定め、求職者等に周知すること
    • 上記の相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。
    • 相談窓口においては、被害を受けた求職者等が萎縮するなどして相談を躊 躇する例もあること等も踏まえ、相談を行った求職者等の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること
  3. 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
    • 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること
    • 上記により、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと。
    • 上記により、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、行為者に対する措置を適正に行うこと
    • 改めて求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること。なお、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できなかった場合においても、同様の措置を講ずること
  4. 1から3までの措置と併せて講ずべき措置
    • 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る相談者・行為者等の情報は当該相談者・行為者等のプライバシーに属するものであることから、相談への対応又は当該セクシュアルハラスメントに係る事後の対応に当たっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者及び求職者等に対して周知すること
    • 労働者が事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相談、紛争解決の援助の求め若しくは調停の申請を行ったこと又は調停の出頭の求めに応じたこと理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

なお、事業主および労働者の責務の趣旨に関連し、求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為、求職活動等における妊娠、出産等に関するハラスメントに類する行為及び求職活動等における育児休業等に関するハラスメントに類する行為について、事業主は、労働者の求職者等に対する言動についても必要な注意を払うよう配慮するとともに、事業主(役員)自らと労働者も、求職者等に対する言動について必要な注意を払うよう努めることが望ましいとされています。

こうした責務の趣旨も踏まえ、事業主は、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化等を行う際に、求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等についても、同様の方針を併せて示すことが望ましいとされています。

また、求職者等の性的指向・ジェンダーアイデンティティに関する侮辱的な言動を行うこと、求職者等の性的指向・ジェンダーアイデンティティ等の機微な個人情報について、当該求職者等の了解を得ずに他の者に暴露すること又は当該求職者等が開示することを強要する若しくは禁止すること等についても、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましいとされています。

なお、厚生労働省は就活ハラスメント対策事例集を作成・公表していますので、適宜参照してください。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

第89回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(厚生労働省HP)

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