「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大に係る事務の取扱いに関するQ&A集の送付について(その2)」が、改正され、公開されました。そこで、今回は、その変更点に注目してみていくことにしましょう。

画像は記事の内容と関係ありません(山形県新庄市で8月に開催された新庄まつりの模様)

今回、新たな設問としてQ3が追加されました。

問3  最初の雇用期間が2月以内である場合は、当該期間を超えて使用されることが見込まれることとして取り扱われることはないのか。

(答)最初の雇用契約の期間が2月以内であっても、次の(ア)又は(イ)に該当する場合は、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」に該当するものとして、最初の雇用期間に基づき使用され始めた時に被保険者の資格を取得することになります。
(ア)就業規則や雇用契約書その他の書面において、その雇用契約が「更新される旨」又は「更新される場合がある旨」が明示されていること。
(イ)同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が、契約更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績があること。
ただし、(ア)又は(イ)に該当する場合であっても、2月以内で定められた最初の雇用契約の期間を超えて使用しないことについて労使双方が合意(※)しているときは、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」には該当しないこととして取り扱います。

本Q&Aの内容は、令和4年10月の改正によるものです。

問16 事業所の新規適用や事業所の合併時点で6か月以上 50 人を超える実績はないが、当該時点以降の厚生年金保険の被保険者の総数が50人を超える場合、特定適用事業所該当届を届け出る必要があるか。
(答)新規適用時や合併時に常時50人を超える見込みがある場合は、6か月以上50人を超える実績がなくても、特定適用事業所該当届を届け出る必要があります。なお、特定適用事業所該当届の該当年月日は常時50人を超えると見込まれた事実発生日となります。

新規適用時点で厚生年金の被保険者が50人を超えている場合には、新規適用の日から特定適用事業所となります。これまでの規模要件では、新規適用の時点から特定適用事業所になることは少なかったと思われますが、51人に拡大されれば、このようなケースが少なからず生じることが想定されます。

問 34 就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間が週 20 時間未満である者が、業務の都合等により恒常的に実際の労働時間が週20時間以上となった場合は、どのように取り扱うのか。また、施行日前から当該状態であった場合は、施行日から被保険者の資格を取得するのか。
(答)実際の労働時間が連続する2月において週20時間以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3月目の初日に被保険者の資格を取得します。
なお、施行時においては、実際の労働時間が直近2月において週20時間以上となっており、引き続き同様の状態が続くことが見込まれる場合は、施行日から被保険者の資格を取得します。

雇用契約上の所定労働時間が週20時間未満であれば、特定適用事業所では社会保険で社会保険に加入することは原則ありませんが、実態が異なる場合には、本Q&Aの基準に基づいて、加入させる必要があります。なお、今回追加されたのは、下線部です。施行日前より加入基準を満たしていた場合には、施行日から加入となります。

問 34 就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間が週 20 時間未満である者が、業務の都合等により恒常的に実際の労働時間が週20時間以上となった場合は、どのように取り扱うのか。また、施行日前から当該状態であった場合は、施行日から被保険者の資格を取得するのか。
(答)実際の労働時間が連続する2月において週20時間以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3月目の初日に被保険者の資格を取得します。なお、施行時においては、実際の労働時間が直近2月において週20時間以上となっており、引き続き同様の状態が続くことが見込まれる場合は、施行日から被保険者の資格を取得します。

雇用契約書と実態で乖離がある場合の判断基準を示したQ&Aです。連続2か月週20時間を超え+3か月目も続くことが見込まれる場合は、3か月目の初日に加入となります。

問40 就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間が週20時間以上で、かつ所定内賃金が月額 8.8 万円未満である者が、業務の都合等により恒常的に実際の労働時間が増加し、賃金が月額 8.8 万円以上となった場合は、どのように取り扱うのか。
(答) 連続する2月において業務の都合等により恒常的に実際の労働時間が増加し、賃金が月額 8.8 万円以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合は、実際の賃金が月額 8.8 万円以上となった月の3月目の初日に被保険者の資格を取得します。この場合は、所定内賃金が月額 8.8 万円以上かの判定において、名目上時間外労働に対して支払われる賃金を含めて判定します。

前問は労働時間が雇用契約の内容と実態が異なる場合の例ですが、本設問は賃金の場合です。ここで注目なのは、「所定内賃金が月額 8.8 万円以上かの判定において、名目上時間外労働に対して支払われる賃金を含めて判定します」とされている部分です。つまり、時間外手当等も含めて8.8万円以上の月が2か月以上続きその状態が続く場合には、月収要件は満たしたことになるというわけです。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内(日本年金機構)