厚生労働省では、働く意欲のあるすべての人がその能力を十分に発揮できる社会の形成が必要となっている中、パートタイム労働で働く配偶者の就業調整につながる配偶者手当(配偶者の収入要件がある配偶者手当)については、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進める事が望まれるとして、その見直しを呼び掛けているところ、今回、「配偶者見直し検討のフローチャート」を、最低賃金の改定に伴い、更新しました。

リーフレットでは、「配偶者手当を見直すことは、自社の人材確保のためにも役立つ」などとして、そのメリットを強調しています。たとえば、「配偶者手当の原資をもとに、共働きの方や独身の方、能力開発に積極的な方など、いろいろな方が活躍できる賃金・人事制度を改めて考えるいい機会になる」などです。はっきりとは書いてありませんが、要するに配偶者手当を廃止ないし縮小して、それを原資にして、ほかの手当等への振り返ることを勧める内容となっています。

リーフレットでも指摘されているように「配偶者手当を支給する企業は減少傾向」ですが、手当の廃止には不利益変更の問題があり、慎重さが求められます。

もとより、就業規則の一方的な不利益変更は原則として許されませんがが、合理的な理由が認められれば、不利益変更であっても就業規則は有効であると判断されます。この合理的理由の判断にあたっては、①労働者の受ける不利益の程度、②労働条件の変更の必要性、③変更後の就業規則の内容の相当性、④労働組合等との交渉の状況などが合理性の判断要素になります。これらの要素をみたとき、政府の呼びかけに応じる形で配偶者手当を廃止してそれを原資として他の手当等に振り替えたとしても、②で合理性を強める要素になりますが、他の要素については慎重に検討する必要があるといえるでしょう。

そのうえで、厚生労働省が示した次のフローチャートに従うことは重要です。特にStep3において、上記①、③および④をにらんだ対応がされている点に着目してください。

なお、見直しの具体的な内容として、リーフレットでは以下の例を示しています。なお、4つめの「配偶者手当の収入制限の撤廃」は、配偶者の収入要件を撤廃することを指しているものと思われます(たとえば、控除対象配偶者であることを条件としていた場合に、これを撤廃することなど)。

  • 配偶者手当の廃止(縮小)+基本給の増額
  • 配偶者手当の廃止(縮小)+子ども手当の増額
  • 配偶者手当の廃止(縮小)+資格手当の創設
  • 配偶者手当の収入制限の撤廃
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参考リンク

企業の配偶者手当の在り方の検討(厚生労働省HP)