スポットワークの留意点をまとめたリーフレットが公開
厚生労働省が、タイミ―などのいわゆる「スポットワーク」における留意事項等をまとめた通知を都道府県労働局へ発出するとともに、取りまとめた労働者及び使用者向けのリーフレットを作成し公表しました。そこで、今回は、使用者向けのリーフレットを参考に、スポットワーク利用時の留意点をみていくことにしましょう。
スポットワークは、事業主とスポットワーカーが直接労働契約を締結することとなり、労働基準法等を守る義務は、労働契約を締結した事業主に生じます。スポットワーカーとスポットワーク仲介事業者が労働契約を結ぶものではないことに注意してください。

では、スポットワークのようにアプリを通して労働契約を締結するとき、その成立時期はいつになるのでしょうか。アプリでは、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募し、面接等を経ることなく、短時間にその求人と応募がマッチングすることが一般的です。面接等を経ることなく先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労働契約が成立するものと一般的には考えられます。
労働契約成立後の解約(いわゆる「キャンセル」)について、その事由や期限をあらかじめ示した契約(解約権留保付労働契約)を労使間で締結する場合には、当該事由が合理的であることや、スポットワーカーにのみ不利な内容にならないことに留意する必要があります。なお、一旦確定した労働日や労働時間等の変更は、労働条件の変更に該当し、事業主とスポットワーカー双方の合意が必要です。
労働契約が成立すると、事業主には労働基準法等を守る義務が生じます。そこで、はじめに予定された就業開始前に労働条件を明示することなどが必要となりますので、スポットワーカーに労働条件を明示しましょう。労働条件通知書の交付はスポットワーク仲介事業者が代行してくれる場合もありますが、交付は事業主の義務なので、きちんと交付されているか、その内容は適切か、事業主は確実に確認してください。もしスポットワーク仲介事業者から交付されていない場合、事業主から交付してください。
労働契約成立後は労働条件通知書等に記載された労働日や労働時間に業務に従事することになります。では、このとき、予定されていた地域のお祭りが中止になったとか、思ったよりお客が来なかったなど事業主の都合で丸1日の休業または仕事の早上がりをさせることになった場合は、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」となるので、スポットワーカーに対し、所定支払日までに休業手当を支払う必要があります。なお、休業手当を支払う場合であっても、事業主自身の故意、過失等により労働者を休業させることになった場合は、賃金を全額(休業手当を既に支払っている場合は当該手当を控除した額)支払う必要があることに留意してください(民法第536条第2項)。また、労働条件通知書などで示した額を一方的に減額したり、「別途支払う」としていた交通費などを支払わない場合には、労働基準法違反となります。
また、スポットワーカーから予定していた労働時間と異なる実際の労働時間による修正の承認申請がなされた場合は、事業主は、予定された労働時間に基づき勤務した賃金は遅滞なく支払うとともに、予定の労働時間と異なる時間については、速やかに確認し、労働時間を確定させるようにしてください。
スポットワーカーが通勤の途中または仕事中にケガをした場合、スポットワーカーは就労先の事業について成立する保険関係に基づき労災保険給付を受けることができます。スポットワーカーの労働災害防止のため、労働安全衛生法等に基づく各種措置(雇入れ時等における機械等の危険性や安全装置の取扱方法等の教育の実施等)を講じてください。特に不慣れな仕事に就いた当初は怪我をする可能性が高いため、十分な教育の実施が必要です。
比較的簡易に雇入れることができるスポットワーカーではありますが、雇用した以上使用者としての責任が生じますので、本リーフレットなどで基本的な事項はおさえておくべきでしょう。



