令和2年経営業務管理者に関する改正
今回は、令和2年10月に改正された建設業許可基準について、国土交通省や千葉県の資料などに基づいてみていくことにしましょう。
改正前(令和2年9月まで)の許可の基準は①経営能力、②財産的基礎、③技術力、④誠実性の4つであったところ、令和2年法改正では、建設業者の持続可能性の観点から、①経営能力(経営業務管理責任者)に関する基準を見直し、経営能力をこれまでと同様に担保できる体制が整っているような場合には、基準に適合しているものとし許可を認めることとされました。その概要は下図のとおりです。

この改正により、建設業者として、下記のいずれかの体制を有することが求められることになります。なお、「常勤役員等」とは、法人である場合においてはその役員のうち常勤のもの、個人である場合には本人又はその支配人をいい、「補佐人」とは、常勤役員等を直接に補佐する者をいいます。
- 常勤役員(個人である場合はその者又はその支配人)のうち1人が、次のいずれかに該当するであること。なお建設業の種類ごとの区別は廃止し、建設業の経験として統一されました。
- 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者であること
- 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)としての5年以上経営業務を管理した経験を有する者であること
- 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者としての6年以上経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者であること。
- 常勤役員で次に該当する者+常勤役員を直接に補佐する者として次に該当する者をそれぞれ置くこと
- 常勤役員(個人である場合はその者又はその支配人)のうち1人が、次のいずれかに該当するものであること。
- 建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等または役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理または業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
- 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者
- 常勤役員を直接に補佐する者として、次の3つの経験について直接に補佐する者になろうとする建設業者または建設業を営む者において5年以上の経験を有する者(一人が複数の経験を兼ねることも可能)
- 財務管理の経験
- 労務管理の経験
- 運営業務の経験
- 常勤役員(個人である場合はその者又はその支配人)のうち1人が、次のいずれかに該当するものであること。
このうち、ⅰ)財務管理の業務経験とは、建設工事を施工するにあたって必要な資金の調達や施工中の資金繰りの管理、下請業者への代金の支払いなどを行う部署におけるこれらの業務経験をいい、ⅱ)労務管理の業務経験とは、社内や工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続きを行う部署におけるこれらの業務経験をいい、ⅲ)業務運営の経験とは、会社の経営方針や運営方針を策定、実施する部署におけるこれらの業務経験をいいます。
ところで、執行役員は「法人の役員」にはあたらないものの、上記1のbの「常勤役員等に準ずる地位」ではあり得ます。ただし、執行役員としての経験としてみとめられるのは、「役員に次ぐ職制上の地位にあり、取締役会設置会社において取締役会の決議により特定の事業部門に関して、業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会によって定められた業務執行方針に従って、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念した経験」をいいます(千葉県手引き)。
また、上記1のcの「経営業務を補佐した経験」とは、「経営業務の管理責任者に準ずる地位(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位にある者)にあって、建設業に関する建設工事の施工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の経営業務全般について、従事した経験」をいいます(前同)。
次に2の要件にみていきましょう。2については、千葉県の手引きによれば、aのⅰについては、常勤役員等については建設業に関し役員経験がある事を登記事項証明書等で証明、役員以外の3年以上の経験を取締役会の議事録、人事発令書その他これに準ずる書類で、経営管理経験の期間が確認できるもの等で証明したうえで、常勤役員等を直接に補佐する者を下記のとおり証明します。
常勤役員等を直接保佐する者の経験で求められるのはⅰ)財務管理の業務経験、ⅱ)労務管理の業務経験、ⅲ)業務運営の経験です。これらの経験は、常勤役員等を直接に補佐する者になろうとする建設業を営む者の経験に限られる
「直接に補佐する」とは、常勤役員等との間に他の者を介入させることなく、組織体系上及び実態上当該常勤役員等から直接指揮命令を受け業務を行うことをいいます。
千葉県では、当該常勤役員を直接に補佐する者の認定のために必要な書類としては、下記の1~3の書類の全てが必要とされます。
- 組織図その他これに準ずる書類で、組織体系上および実態上常勤役員等との間に他の者を介在させることなく、当該常勤役員等から直接指揮命令を受け、業務を常勤で行っている事が確認できる資料
- 業務分掌規程、過去の稟議書その他これらに準ずる書類で、被認定者における経験が「財務管理」、「労務管理」又は「業務運営」の業務経験に該当することを確認できる資料
- 人事発令書その他これらに準ずる書類で、「財務管理」、「労務管理」又は「業務運営」の業務経験の期間を確認するための書類
以上が経営業務管理責任者の要件とその認定に必要な資料です。ここまで見てわかるように、上記2の要件を満たすのはハードルが高いのが現実といえるでしょう。



