ストレスチェック制度導入⑤~実施後の措置
面接指導が実施された後、事業者は、面接指導を行った医師から以下の事項を含む就業上の措置に関する意見を概ね1か月以内に聴くようにします。

面接指導の結果は、記録を作成し、保存する必要があります。以下の内容が含まれていれば、医師からの報告をそのまま保存しても構いません。
- 実施年月日
- 労働者の氏名
- 面接指導を行った医師の氏名
- 労働者の勤務の状況、ストレスの状況、その他の心身の状況
- 就業上の措置に関する医師の意見
事業者は、医師の意見に基づき、必要がある場合には、労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を検討・決定します。
就業上の措置を実施する場合、当該事業場の産業医、産業保健スタッフとの連携はもちろんのこと、当該事業場の健康管理部門及び人事労務管理部門の連携にも十分留意する必要があります。また、特に労働者の勤務する職場の管理監督者の理解を得ることが不可欠であるため、事業者は、プライバシーに配慮しつつ、当該管理監督者に対し、就業上の措置の目的および内容等について理解が得られるよう必要な説明を行うことが必要です。
就業上の措置を講じた後、ストレス状態の改善が見られた場合には、当該事業場の産業医等の意見を聴いた上で、通常の勤務に戻す等適切な措置を講ずることを検討しましょう。

ストレスチェック制度では、一次予防を主な目的とする制度の趣旨を踏まえ、労働者本人のセルフケアを進めるとともに、職場環境の改善に取り組むことが重要です。そこで、ストレスチェックの結果を職場や部署単位で集計・分析することにより、高ストレスの労働者が多い部署が明らかにし、その部署の業務内容や労働時間など他の情報と合わせて評価し、事業場や部署として仕事の量的·質的負担が高かったり、周囲からの社会的支援が低かったり、職場の健康リスクが高い場合には、職場環境等の改善が必要と考えられます。
集団ごとの集計・分析結果は、労働者の同意を取らなくても、実施者から事業者に提供して差し支えないとされています。ただし、集計·分析の単位が10人を下回る場合には個人が特定されるおそれがあることから、個人特定につながらない方法でない限りは、集計・分析の対象となる労働者全員の同意がなければ、集計·分析結果を事業者に提供することはできません。
ここで、「個人特定につながらない方法」としては、例えば、ストレスチェックの評価点の総計の平均値を求める方法や仕事のストレス判定図を用いる方法などがあります。仕事のストレス判定図を用いると、これまでの研究成果から得られている標準集団に比べて、自社の評価対象とした集団にどの程度健康リスクがあるのかを判定することができます。

集団ごとの集計・分析の結果は実施者から事業者に通知され、事業者は職場環境の改善のための取り組みを行います。事業者は産業医と連携しつつ、各職場における業務の改善、管理監督者向け研修の実施、衛生委員会における具体的な活用方法の検討などに活用しましょう。
措置を講ずるに当たっては、医師、保健師等の実施者やその他の有資格者、産業力ウンセラーや臨床心理士等の心理職から意見を聴くとよいでしょう。一方で、集団ごとの集計·分析の結果は、集計·分析の対象となった集団の責任者にとってはその当該事業場内における評価等につながり得る情報であり、無制限にこれを共有した場合、当該責任者等に不利益が生じるおそれがあるため、事業場内で制限なく共有することは不適当です。
「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」には、以下のような、改善事例を掲載しています。こういった事例を参考に、積極的に職場環境の改善を実施しましょう。
- 労働安全衛生マネジメントシステムの中で実施される管理監督者による職場環境改善
- オフィスでの管理監督者および従業員参加型検討会による職場環境改善
- 職場環境改善のためのヒント集を活用した「職場ドック」
- 小売業における職場環境改善活動
- 小規模零細企業における職場環境改善の取り組み
事業者は、面接指導の実施後に、ストレスチェックと面接指導の実施状況を
労働基準監督署に報告します。
ストレスチェックを複数月に亘って行った場合には、最終月を記載します。報告書の提出時期は、各事業場における事業年度の終了後など、事業場ごとに設定して差し支えありません。なお、部署ごとに順次行うなど、年間を通じてストレスチェックを行っている会社では、検査は暦年1年間での受検者数を記入し、それに伴う面接指導を受けた者の数を報告してください。



