全世代型社会保障構築会議が「論点整理」として各分野の改革の方向性のとりまとめ案を公表しました。

ここでは本論点整理の「2.『働き方に中立的な社会保障制度等の構築』の検討課題」についてみることにしましょう。

まず、基本的方向については、どのような働き方をしてもセーフティネットが確保される社会保障制度等を構築するとともに、少子化対策の観点からも、労働市場や雇用の在り方について不断に見直しを図っていくこと、および、非正規雇用労働者の処遇改善や正規化を進めるとともに、成長分野への労働移動の円滑化のための環境整備を図ること等による構造的な賃上げにつなげていくこと等が必要とされました。

そのうえで、検討すべき課題の第1として、「勤労者皆保険」に向けて、①企業規模要件の撤廃、非適用業種の解消について早急に実現すること、②小規模な個人事業所や適用対象外となっている短時間労働者についても、適用除外規定の見直しを行い、被用者保険の適用を図るべきであること、③ フリーランス・ギグワーカーについて、労働基準法上の「労働者」に該当しない場合については諸外国の例等も参考に検討すること、④社会保障制度や税制について、働き方に中立的なものとしていくべきことなどが挙げられました。特に①については「早急に実現すること」とされており、比較的早い時期に法改正が行われる可能性があります。

次に、非正規雇用に関連して、①「同一労働同一賃金」の効果を検証し、ガイドライン等の必要な見直しを検討すること、「無期転換ルール」について、その実効性を更に高めるための方策を実施すること、②「多様な正社員」の普及・促進する方策を検討するなど、正社員への転換を希望する非正規雇用労働者の「正規化」を推進すること、③労働移動の円滑化を促進するための施策について、一層強力に推進すること、④上記の取組を進めるため、非正規雇用労働者の待遇改善や中途採用に関する取組状況等について、非財務情報の開示対象に加えることを含め、企業の取組の促進策を検討することなどが挙げられました。

今後はこのような方針で、厚労省内の審議会等で具体的な改正に向けた議論が進むものと思われます。今後の政策の方向性を占うものとして注目すべき内容といえるでしょう。

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参考リンク

論点整理(各分野の改革の方向性)(案)(PDF/738KB)