2019年の働き方改革関連法により「長時間労働者に対する医師による面接指導」に関する改正が行われました。しかし、いろいろな企業の就業規則等を見ていると、この改正が反映されていないケースが散見されます。そこで、今回はあらためて、「面接指導」の概要を取り上げたいと思います。

「長時間労働者の面接指導」は、長時間の労働により疲労が蓄積し健康障害発症のリスクが高まった労働者について、その健康の状況を把握し、これに応じて本人に対する指導を行うとともに、その結果を踏まえた措置を講じるものです。

医師による面接指導の対象となる労働者は、次の者です。

  1. 労働者(高度プロフェッショナル制度適用者を除く)の場合は、月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労の蓄積が認められる者(申出)
  2. 研究開発業務従事者の場合は、1に加えて、月100時間超の時間外・休日労働を行った者
  3. 高度プロフェッショナル制度適用者の場合は、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について月100時間を超えて行った者

3の「健康管理時間」とは、対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者が事業場内にいた時間(労使委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間とされています。また、1週間当たりの健康管理時間が、40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1月当たり100時間を超えない高度プロフェッショナル制度適用者であって、申出を行った者については、医師による面接指導を実施するよう努めることとされています。

会社は、時間外・休日労働時間の算定を行ったときは、当該超えた時間が1月当たり80時間を超えた労働者本人に対して、速やかに当該超えた時間に関する情報(時間外・休日労働時間数)を通知しなければなりません。この通知は、疲労の蓄積が認められる労働者の面接指導の申出を促すためのものであり、労働時間に関する情報のほか、面接指導の実施方法・時期等の案内を併せて行うことが望ましいとされています。通知する方法については、書面や電子メールによるもののほか、給与明細に時間外・休日労働時間数が記載されている場合には、これをもって労働時間に関する情報の通知としても差し支えないとされています。

面接指導実施後、会社は、対象となった従業員の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければなりません。医師の意見聴取は、面接指導を実施した医師から面接指導の結果の報告に併せて行うことが適当です。事業者は、面接指導等の記録を作成し、5年間保存しなければなりません。なお、面接指導の結果の記録は、面接指導を実施した医師からの報告をそのまま保存することで足ります。

会社は、医師の意見を勘案して、必要と認める場合は適切な措置を実施しなければなりません。

なお、高度プロフェッショナル制度の対象労働者を除き、管理監督者、事業場外労働のみなし労働時間制の適用者を含めた全ての労働者に適用されます。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について(厚生労働省HP)