今回の記事をざっくり言うと・・・

  • 国会で限定正社員に関する質問主意書が提出され、その答弁で、解雇権濫用法理が適用されることが確認された

限定正社員に関する質問と答弁参議院の小宮山議員(民主党)が限定正社員など政府の雇用政策について質問主意書を提出し、それに対する答弁がされました。

質問主意書には4項目ありますが、限定正社員については、次のような質問となっています。

 ・・・限定正社員は、雇用期間の定めはないが、その職種や勤務地の支店、営業所がなくなれば職を失うことになる。再びリーマンショックのような経済不況に陥ったとき、派遣社員のみならず、限定正社員も職を失うことが考えられる。この場合の対策について政府の見解を示されたい。

これに対する答弁書は次のとおりです。

 事業主に直接雇用され、雇用期間の定めがなく、職務、勤務地、労働時間等が限定された労働者についても、労働契約法第16条の規定が適用され、事業所の閉鎖や職務の廃止の場合に行われた解雇が当然に有効となるわけではないと認識している。
また、お尋ねの「リーマンショックのような経済不況に陥ったとき」には、雇用情勢が悪化し、失業者が増加することが想定されるため、雇用調整助成金の活用による雇用維持に加え、雇用保険の失業等給付、ハローワークによる再就職支援等の雇用対策に取り組んでまいりたい。

これにより、少なくとも限定正社員であっても解雇権濫用法理は適用されるという点が改めて確認されたました。しかし、そんなことは自明のことで、問題は正社員と限定正社員の間に差があるかどうか、具体的には整理解雇の場面で正社員の解雇の前段として限定正社員の解雇があり得るのか、あるべきなのかであって、そこに触れないというのは、少しもの足りないやり取りといっていいでしょう。

とはいっても、聞いたところで個別具体的な司法判断によるものとされるだけなのでしょうが。

■関連リンク

限定正社員の働き方と正社員との格差に関する質問主意書(参議院HP)

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