今回の記事、ざっくり言うと・・・
- 厚生労働省が「女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会」の報告書を公表
- 労使においては、個々の企業の実情(共働き、単身者の増加や生涯未婚率の上昇等企業内の従業員構成の変化や企業を取り巻く環境の変化等)も踏まえて、真摯な話合いを進めることが期待されるとされている
厚生労働省が「女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会」の報告書を取りまとめましたので、公表しましたので、今回はその内容についてみてみましょう。
本報告書は、労使において配偶者手当の在り方の検討を行うための背景、課題等を整理するとともに、見直しを行う場合の留意事項等について検討したもので、ポイントは次のとおりです。
1 配偶者手当の在り方
配偶者手当は、高度経済成長期に日本的雇用慣行と相まって定着してきた制度ですが、女性の就業が進むなど社会の実情が大きく変化している中、税制・社会保障制度とともに、就業調整の要因となっている点をふまえて、パートタイム労働で働く配偶者の就業調整につながる配偶者手当(配偶者の収入要件がある配偶者手当)については、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれるとされています。
2 労使による企業の実情を踏まえた検討
労使においては、「経済の好循環の継続に向けた政労使の取組」に基づき、個々の企業の実情(共働き、単身者の増加や生涯未婚率の上昇等企業内の従業員構成の変化や企業を取り巻く環境の変化等)も踏まえて、真摯な話合いを進めることが期待されるとされています。
では、具体的にはどのような見直しが考えられるのでしょうか。報告書では、次のように整理しています。
① 「配偶者手当」を廃止し、基本給等へ組み入れ、他の家族手当の増額、新手当の創設等
- 家族手当を廃止し、または配偶者を対象から除外し、相当部分を基本給等
に組み入れ - 配偶者に対する手当を廃止し、子どもや障害を持つ家族等に対する手当を
増額 - 家族手当や住宅手当を廃止し、基礎能力に応じて支給する手当を創設
② 「配偶者手当」を縮小
- 配偶者に手厚い支給内容を、扶養家族1 人あたり同額に変更(配偶者に対する手当を減額し、子ども等に対する手当を増額)
- 配偶者に対する手当を、一定の年齢(3 歳の3 月末、小学校卒業)までの子どもがいる場合のみに限定して支給
- 管理職及び総合職に対する扶養手当を廃止し、実力、成果、貢献に応じて配分
③ 「配偶者手当」を存続
- 他の手当は改廃したものの、生活保障の観点から家族手当は存続
3 配偶者手当の見直しに当たっての留意点
配偶者手当を含めた賃金制度の円滑な見直しに当たっては、労働契約法、判例等に加え、企業事例等を踏まえ、以下に留意する必要があるとされています。
- ニーズの把握など従業員の納得性を高める取組
- 労使の丁寧な話合い・合意
- 賃金原資総額の維持
- 必要な経過措置
- 決定後の新制度についての丁寧な説明
関連リンク
女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会報告書を取りまとめました(厚労省HP)