改正研究力強化法により大学等の研究者について無期転換制度の特例が設けられました
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研究開発力強化法の改正案が12月5日に参議院で可決成立し、大学や民間研究機関の研究者については、労働契約法による無期転換権の発生(下表参照)に必要な通算契約期間を5年超から10年超に延長されることになりました。
ただし、この特例の対象となる労働者は、科学技術に関する研究者または技術者であって、研究開発法人または大学と有期労働契約を締結したもの等限定されたものとなっています。この点について、労働新聞(12月9日付)では、岩村正彦労働政策審議会労働条件分科会会長のコメントとして、「同例外の新設は大学研究者などに絞って適用するもので、直ちに一般分野にも拡大されるとは思っていない」としています。
今回の法改正は、無期転換制度を定めた改正労働契約法について、特に若手の研究者等の雇用への影響が懸念されていたところ(たとえば和田肇「労働契約法改正は有期雇用不安化法である」労働判例1054号遊筆)、この問題への一定の解決を図るものとなるでしょう。一方、本改正法が一般の企業等に適用されるかどうかは、上記のように「直ちに」肯定されるものではありません。しかし、労働契約法が民事法であることから、類推適用される可能性はあると考えます。
しかし、現時点での実務上の対応としては、本改正法の一般企業への適用はない前提で検討するべきでしょう。
無期転換制度とは 平成25年4月1日に施行された改正労働契約法により導入された制度で、同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合に、労働者の申込みによって、有期の契約期間であった労働契約が無期労働契約に転換したものとするというものです。この申込みは労働者の権利(無期転換申込権)であり、申込みをするかどうかは労働者の自由とされており、会社が拒否したとしても、無期労働契約となります。 |
■関連リンク
研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の任期に関する法律の一部を改正する法律案要綱(厚生労働省HP)