若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況が公表されました
※写真と記事内容は、一切関係ありません。 |
厚生労働省は、平成25年9月を「過重労働重点監督月間」とし、若者の「使い捨て」が疑われる企業等(いわゆる「ブラック企業」)に対して集中的に実施した「過重労働重点監督」の結果を取りまとめ、公表しました。重点監督の実施事業場は5,111 事業場、そのうち4,189 事業場(全体の82.0%)に何らかの労働基準関係法令違反があった結果となっています。
なお、今回の監督結果については、9月1日に実施した無料電話相談も含め、数多く寄せられた情報の中から、過重労働の問題があることについて、より深刻・詳細な情報のあった事業場を優先して監督の対象としているため、平成24年の定期監督等における違反率である68.4%に比べてと高くなっていることに留意してください。
今回の監督は時間外労働、賃金および過重労働による健康障害が主な調査項目となっていました。このうち、最も違反が多かったのは違法な時間外労働で2,241事業場(43.8%)にのぼっています。その具体的な例としては、社員の7 割に及ぶ係長職以上の者を管理監督者として取り扱い、割増賃金を支払っていなかった事例、無料電話相談を契機とする監督指導時に、36 協定で定めた上限時間を超え、月100 時間を超える時間外労働が行われていた事例などであり、公表された資料にはより具体的な状況を知ることができます。
ところで、上記のように今回の重点監督は厚労省が実施した無料電話相談などをきっかけに調査事業所が絞り込まれたことが特徴です。無料電話相談を利用する層は、要するに社内トラブルを外部に持ち出す傾向にあるということですので、その属性には興味があるところです。
そこで、今回の相談の対象となった労働者の年齢層をみると20歳から39歳で全体の5割弱を占めていました。そしてその多くが中小企業の労働者です(50人未満の事業場で4割強を超えます。なお規模不明の件数が26.9%あることから、実際には50人未満で半数を超えるように思います)。特に規模が小さい事業場であれば、これまで労基署の臨検の対象となったことがない事業場も多いと思いますが(2000年以降の定期臨検実施率は3%前後です)、今回のような厚労省のキャンペーンによって申告が増加することが考えられます(ドラマの影響もあるかもしれません)。
今回の電話相談では、「賃金不払残業」が53.6%、「長時間・過重労働」が39.8%となっています。まずはこの点について、社内の状況を確認してみてはいかがでしょうか。
もちろん、当事務所にご依頼頂ければ、お手伝いさせていただきます。
■関連リンク
若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況―重点監督を実施した約8割の事業場に法令違反を指摘―(厚生労働省HP)