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労働者派遣法の改正について建議が公表〜その他見直される内容〜


※画像は記事内容と関係ありません。

 厚生労働省は、労働政策審議会が厚生労働大臣に対して建議した「労働者派遣制度の改正について(報告書)」を公表しました。厚生労働省は、この建議の内容を踏まえ、平成26年通常国会への法案提出に向け、法案要綱を作成する予定です。

 そこで、前回に続き、報告書の内容をみることにしましょう。今回は、すでに取り上げた新しい期間制限以外のうち、主なものを取り上げます。

■「労働者派遣制度の改正について」その他

1.特定労働者派遣事業について
 特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別を撤廃し、すべての労働者派遣事業を許可制とすることが適当

2.派遣先の責任について
国は、派遣先の使用者性に関する代表的な裁判例及び中労委命令について、整理を行った上で周知することが適当
派遣先が適切かつ迅速な処理を図るべき苦情の内容として、派遣先におけるセクハラ・パワハラ等を指針に例示することが適当

3.派遣労働者の処遇について
(1)均衡待遇の推進
同種業務従事者の賃金に係る情報提供、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用機会の付与等について、派遣先事業主が配慮するものとすることが適当
(2)労働・社会保険の適用推進
派遣元事業主は、労働契約の締結の際に、労働・社会保険の加入資格の有無を明示するものとすること、社会保険に加入させた上で労働者を派遣する場合は、派遣先に被保険者証等の写しを提示すること等により、派遣先が加入の事実を確認することができるようにすることが適当

4.派遣労働者のキャリアアップ措置について
(1)派遣元事業主が講ずべき措置
派遣元事業主は、計画的な教育訓練を実施するほか、希望する派遣労働者に対してはキャリア・コンサルティングを実施するものとし、特に無期雇用の派遣労働者に対しては、長期的なキャリア形成を視野に入れてこれらを実施するものとすることが適当
許可・更新要件に「派遣労働者へのキャリア形成支援制度を有すること」を追加し、キャリアアップ措置の取組については、労働者派遣事業報告により把握することすることが適当
(2)紹介予定派遣の推進
紹介予定派遣を推進するため、派遣元事業主が職業紹介事業の許可を申請する際の手続の簡素化等を進めることが適当
(3)派遣先での正社員化の推進 派遣先は、新たに正社員の募集を行う場合は、募集を行うポストがある事業所に1年以上受け入れている派遣労働者に対して当該募集情報を周知するものとすることが適当
(4)派遣先による直接雇用への対応
派遣先が派遣契約の終了直後に、受け入れていた派遣労働者を直接雇用しようとする際の取扱いについて、派遣契約に定めるものとすることが適当

5.指導監督の強化等について
労働者派遣事業の許可の取得後最初の許可更新の際に、当該更新を受けようとする派遣元事業主が許可基準を満たしていることを当審議会に報告することが適当

 少しわかりづらいのが2.の前段ではないでしょうか。これは、派遣先が派遣労働者の属する労働組合による団体交渉を拒否して紛争となった事例が増加していることをうけたものと思われます。一般的に、派遣労働者の属する組合との団体交渉の相手は派遣元事業主とされていますが、派遣労働者直接雇用する方針が決まっている場合の採用条件に関する団体交渉について、派遣先が団体交渉に応じる義務を認めた裁判例(H23.3.17東京地判「クボタ事件」)などもあり、どのような場合に派遣先が労組法上の使用者に当たるかどうかがわかりにくい状況にあります。そのため、代表的な裁判例を整理することを提案したものです。

 このように、2回にわたって労働者派遣法の改正の動向について取り上げました。建議では、労働者側・使用者側の意見を特に掲載している部分もあり、今後どのような改正法案が作成されるのか、引き続き注視していきたいと思います。

■関連リンク
労働政策審議会建議 −労働者派遣制度の改正について−(厚生労働省HP)


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