• 政府が「平成30年版過労死等防止対策白書」を閣議決定
  • 過労死等が多く発生していると指摘のある教職員、IT産業、医療を中心とした重点業種・職種に関する労災事案等の分析などを報告
  • たとえばIT産業に関する分析をみると、脳・心臓疾患及び精神障害事案ともに、30代から40代と比較的若い世代で多いくなっており、⾧時間労働の要因としては、厳しい納期、顧客対応、急な仕様変更等となっている

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政府が「平成30年版過労死等防止対策白書」を閣議決定しました。

「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法の第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書です。3回目となる今回の白書のポイントは以下のとおりです。

  1. 国における主な取組として、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成30年7月24日閣議決定)の概要及び「働き方改革を推進するための関連法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)の定める長時間労働の是正等に関するポイントについて記載。
  2. 過労死等が多く発生していると指摘のある教職員、IT産業、医療を中心とした重点業種・職種に関する労災事案等の分析など、企業における過労死等防止対策の推進に参考となる調査研究結果を報告。
  3. 労働行政機関等における長時間労働削減等の対策や国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、昨年度の取組を中心とした施策の状況について詳細に報告。
  4. 過労死等防止対策に取り組む民間団体、国、地方公共団体及び学校の活動をコラムとして紹介。

過労死等の現状としては、脳・心臓疾患の支給決定件数は、労災で300件前後、地方公務員の公務災害で20件前後で推移、一方、精神障害の支給決定件数は、増加傾向であり、労災及び地方公務員の公務災害ともに過去最高(労災:506件、地方公務員の公務災害:50件)となりました。

また、白書では、大綱に定める以下の5つの重点業種・職種についての調査・分析結果が報告されています。

  1. 自動車運転従事者(労災認定事案の追加分析)
  2. 教職員(労災認定事案の分析、公務災害認定事案の分析、労働・社会分野の調査)
  3. IT産業(労災認定事案の分析、労働・社会分野の調査)
  4. 外食産業(労災認定事案の追加分析)
  5. 医療(労災認定事案の分析、労働・社会分野の調査)

このうち、IT産業に関する分析をみると、脳・心臓疾患及び精神障害事案ともに、30代から40代と比較的若い世代で多いくなっており、⾧時間労働の要因としては、厳しい納期、顧客対応、急な仕様変更等となっています。

一方、精神障害事案の発病に関与したと考えられる業務によるストレス要因は、⾧時間労働が多くなっています。

⾧時間労働が発生する理由は、トラブル等の緊急対応(59.1%)、顧客対応(47.9%) 、仕様変更(42.5%)等、主に発注者等顧客からの要望等への対応が多くなっています。したがって、過労死防止のためには発注者の理解も欠かせないといえます。

また、業務に関連するストレスや悩みの内容は、納期厳守等のプレッシャー(48.5%) 、職場の人間関係(36.8%)が多く、過重労働の防止に向けた取組を実施するに当たっての課題としては、こちらでも顧客の理解・協力が必要であるが多くなっています(56.1%)。

参考リンク

「平成30年版過労死等防止対策白書」を公表します(厚生労働省HP)

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