今回の記事をざっくり言うと・・・

  • パートタイム労働法の規定に基づき短時間労働者対策基本方針が策定された
  • 同方針では、今後の対策として、①均等・均衡待遇の確保、納得性の向上、②短時間労働者の希望に応じた通常の労働者への転換・キャリアアップの推進、③労働者に適用される基本的な法令の履行確保が挙げられている

短時間労働者対策基本方針概要4月1日から改正パートタイム労働法が施行されますが、厚生労働省は、平成27年度から平成31年度までの5年間に取り組むべき、パートタイム労働者の雇用管理の改善などの促進や職業能力の開発・向上などに関する施策の基本となる「短時間労働者対策基本方針」を策定しました。

この短時間労働者対策基本方針とは、パートタイム労働法に基づき、短時間労働者の福祉の増進を図るため、短時間労働者の雇用管理の改善などの促進や、職業能力の 開発・向上などに関する施策の基本となるべき方針を定めるものです。

では、その概要をみてみましょう。

1.短時間労働者の現状

  • 短時間労働者数は増加傾向で、基幹的役割を担う人も増加。
  • 通常の労働者(正社員)と短時間労働者(パートタイム労働者)の待遇は異なる。
  • ワーク・ライフ・バランスを実現しやすい働き方である一方、正社員としての就職機会を得られず、やむを得ず選択する人も存在。

2.短時間労働者をめぐる課題

  • 待遇が働き・貢献に見合っていない場合があるため、通常の労働者との均等・均衡待遇の一層の確保が必要。
  • 労働条件が不明確になりやすく、通常の労働者と待遇が異なる理由が分からない場合もあるため、短時間労働者の納得性の向上が必要。
  • 希望する人に通常の労働者への転換の機会が与えられること、希望に応じてキャリアアップが図られることが必要。

3.施策の方向性・具体的施策~均等・均衡待遇の確保や通常の労働者への転換などのための取組を一層推進~

① 均等・均衡待遇の確保、納得性の向上

  • 「パート労働ポータルサイト」などによる法律や相談窓口設置義務の新規規定などの積極的な周知
  • 「短時間労働者の待遇の原則」に沿った雇用管理の改善促進、労使の取組・裁判例の動向などの情報収集
  • 的確な行政指導の実施による法の履行確保
  • 雇用管理改善などに積極的に取り組む事業主を社会的に評価するための取組の推進など

② 短時間労働者の希望に応じた通常の労働者への転換・キャリアアップの推進

  • 通常の労働者への転換を推進する措置義務の履行確保
  • 短時間正社員など「多様な正社員」の普及など

③ 労働者に適用される基本的な法令の履行確保

このように見てみると、従来からの取組みが多く目新しさはあまりない内容ですが、指針がまとめられたことで、今後の企業の取組みの参考にしやすくなるように思います。

■関連リンク

「短時間労働者対策基本方針」を策定しました(厚生労働省HP)

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