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被扶養者の国内居住要件について、Q&Aの一部が改正されました。

国内居住要件とは、令和2年4月に施行された改正法により、健康保険の被扶養者となる要件に追加されたもので、日本国内に住所があることをいいます。これを満たすかどうかは、基本的に日本国内に住民票があるかどうかで判断されます。このため、例えば、当該被扶養者が一定の期間を海外で生活している場合も、日本に住民票がある限りは、原則として国内居住要件を満たすことになります(実態がない場合を除く)。

一方、外国に一時的に留学をする学生や外国に赴任する被保険者に同行する家族等の一時的な海外渡航を行う者については例外が認められています。例外に該当する場合は、日本国内に住所がないとしても、日本国内に生活の基礎があると認められる者として、国内居住要件の例外として取り扱うこととされており、このことに関するQ&Aが作成されていました。

それでは、以下で、改正された内容を中心にみていきましょう。

Q2-2 外国に一時的に留学をする学生、外国に赴任する被保険者に同行する家族等の一時的な海外渡航を行う者であって、本来の在留活動を妨げない範囲の付随的な就労を行う場合又は就労しない場合の収入確認について、渡航先での滞在期間が短い等の理由で収入を確認する公的証明等が発行できない場合の取扱如何。
A 渡航先での滞在期間が短い等の理由で公的証明等が発行できない場合は、ビザにおいて、就労の可否、可能な就労の程度を確認し、今後1年間の収入を見込むこと。ビザだけでは判断できない場合は、被保険者の勤務先において扶養手当の支給状況及び支給基準等を提出させ確認を行うこと。なお、出国前の日本国内での収入で判断する場合は、海外に渡航していることによる状況の変化について考慮すること。
(例)・学生ビザで就労可能な時間に制限がある場合等、当該制限の下で就労することにより被扶養者の認定基準未満の収入となることが見込まれる場合は、就労による収入は収入要件を満たすとして取り扱って差し支えない。
・就労ができない種類のビザの発給を受けている場合、就労による収入はないとして取り扱って差し支えない。
・ 渡航する前に国内に居住していた認定対象者について認定時における最新の国内の所得証明書を取得することができる場合、当該証明書にて被扶養者の認定基準額未満の収入であることが確認できる場合は、渡航後も認定基準額未満の収入として取り扱って差し支えない。

海外渡航先での収入は把握することが困難であるため、その取扱いを定めたものといえるでしょう。「就労の可否、可能な就労の程度を確認し、今後1年間の収入を見込むこと」を基本としつつ、現実には判断に悩むケースも少なくないと思われます。実務的には就労できないビザであれば判断しやすいですが、3つ目の具体例のように「最新の国内の所得証明書」で対応できないか検討することになるのではないでしょうか。いずれにしても、Aで挙げられた要素を確認し、保険者に確認しながらすすべるべきでしょう。

Q2-3 被保険者が外国に赴任している間に身分関係が生じた者の収入を確認する書類の例如何。
A 被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者については、収入額に関する公的機関の証明や、収入がある場合には勤務先から発行された収入証明書等で確認すること。

これも収入の確認資料の収集が困難な場合が想定されるケースです。相手が現地国の方であれば、その国での収入額を証明する書類に翻訳文などを添付して提出することになるでしょう。

Q15 独立行政法人国際協力機構(JICA)の海外協力隊など海外でボランティア活動をする場合、当該団体等から現地生活費が支給されることがあるが、この場合も国内居住要件の例外に該当するか。
A ボランティア活動で一時的に海外に渡航する者として国内居住要件の例外に該当する。ただし、当該現地生活費が年間収入として被扶養者の認定基準額以上である場合等は、健康保険法第3条第7項に規定する「主としてその被保険者により生計を維持するもの」に該当しないため、被扶養者と認定されないことに留意されたい。

被扶養者として認定される要件の一つに、年収が130円未満であることがあります。ここでいう年収に、設問の「現地生活費」が含まれるかどうかという設問ですが、結論としては該当することが示されました。

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参考リンク

「被扶養者の国内居住要件等について」の一部改正について(令和5年6月19日保保発0619第1号)(厚生労働省HP)