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前回に引き続き、今後の「仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会」で示された、次期の育児介護休業法の改正動向、特に今回は「介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等」の節で示された内容を取り上げます。

介護休業については、現行制度そのものを改正するという議論はいまのところありませんが、介護休業の目的が介護の体制を構築するために一定期間休業する場合に対応するものであることが認識されていないことを踏まえて、報告書では「家族の介護の必要性に直面した労働者が申出をした場合に、当該労働者に対して、企業が、仕事と介護の両立支援制度等に関する情報を個別に周知することが必要」と指摘しています。さらに、介護保険制度の基本的な知識を有効としたうえで、「介護保険の第2号被保険者となる40歳になるタイミングをとらえるなどして効果的な時期に、労働者に対して、両立支援制度の情報を記載した資料などを配付するなどの情報提供を一律に行うことが必要」とし、さらに、「介護保険制度の内容をあわせて周知することが望ましい」とされました。

令和4年の改正育児介護休業法では、本人または配偶者が妊娠したことを会社に申し出た際に、育児休業制度などの説明を行うことを義務付けましたが、上記の内容はこれの介護休業版といえそうです。

次に、介護休暇について、労働移動に中立的な制度とする等の観点からも、継続して雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定によって除外できる仕組みは廃止することが必要と報告されています。これが実現した場合には、標準的な労使協定は見直しが必要となります。

今回の報告書では、障害児を育てる親等への支援についても検討されています。子に障害がある場合や医療的ケアを必要とする場合にも、子が要介護状態の要件を満たせば、介護休暇等の制度も利用可能であることや、介護休業等の措置に準じて、介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずる努力義務が事業主に課されていることについて、周知を強化するべきとされました。また、現行の要介護状態の判断基準について、主に高齢者介護を念頭に作成されており、子に障害がある場合等では解釈が難しいケースも考えられることから、今後さらに検討することが今後の課題であると報告されています。

このように、近年改正が続く育児介護休業法ですが、政権の意向もあって早くも法改正にむけた動きがはっきりしてきました。今後の動向にも引き続き注意が必要です。

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参考リンク

第9回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会(厚生労働省HP)