image072これまで「平成26年度地方労働行政運営方針」について2回にわたってみてきました。最終回となる今回は労働災害が増加傾向にある業種に対する方針についてみていきましょう。

1.労働災害を減少させるための重点業種

方針では、中長期的に労働災害が増加し、または減少が見られない第三次産業および陸上貨物運送事業が重点業種として定められています。

まず、三次産業については、特に労働災害件数が多い小売業、社会福祉施設および飲食店を中心に取り組むものとしています。具体的には、都道府県等他行政が許認可権限を有する業種については、その都道府県等の実施する事業者への講習会等で労働災害防止に係る説明を行うこと、4S活動等による労働災害の防止は経営や業務の合理化・効率化にも繋がることを伝えることを定めています。

また、第三次産業の安全管理者の選任が義務付けられていない業種において、事業場の安全管理体制の構築を図るため、安全推進者を選任し、必要な権限を付与した上で職務を遂行させる等の勧奨を積極的に行うものとしています。

さらに、第三次産業のうち、小売業については転倒災害の防止、 社会福祉施設については、転倒災害、腰痛の防止、飲食店については、転倒災害、切れ・こすれ災害及び高温・低温の物との接触災害等の防止を中心に指導するものとしています。

重点業種の2つめは陸上貨物運送事業です。

ここでは、労働災害のうち、作業種類別では荷役作業時が全体の7割を占めていることから、荷役作業時における災害の減少を図るものとしています。

2.重篤な労働災害を減少させるための重点業種

ここで取組みの中心となるのが建設業です。建設業界については、今後建設投資の増加が見込まれることから、全国的に人材不足等の深刻化、人材の質の維持や現場管理等の支障により、労働災害が更に増加することが懸念されています。そこで、「必要な安全経費を計上するなど安全衛生に配慮した発注を促進するとともに、数次の請負人に安全経費が確実に渡るように働きかける」ことや、「墜落・転落災害の防止を中心に指導し、足場については墜落防止措置や作業主任者の選任等の徹底を図る」としています。

3.職業性疾病等の予防対策

ここでは、熱中症予防対策とじん肺予防対策が掲げられています。特に、熱中症予防対策については、「建設業、警備業、製造業等、夏季に暑熱な環境で作業を行う事業者に対し、必要な指導を行う」としています。

4.その他

上記の他にも、方針では、メンタルヘルス対策や過重労働による健康障害防止対策等について記載されています。上記の業種については、安全衛生面からの指導が今後強化するものと考えられます。

■関連リンク
平成26年度地方労働行政運営方針の策定について(厚生労働省HP)