世界の労働基準監督署からVOL023:太田労働基準監督署

今回は、以前取り上げた改正省令が令和6年4月1日から施行・適用される裁量労働制に関するQ&Aの追加分の続きをみていきましょう。

はじめに、健康・福祉確保措置については、大きく分けて①長時間労働の抑制や休日確保を図るための各事業場の適用労働者全員を対象とする措置と②勤務状況や健康状態の改善を図るための個々の適用労働者の状況に応じて講ずる措置に分けられますが、このうち①の一つとして「把握した労働時間が一定時間を超えない範囲内とすること及び当該時間を超えたときは法第38条の3第1項の規定を適用しないこととすること」が定められているところ、これに基づいて「一定期間裁量労働制を適用しないこととしたのち、当該期間を経過した場合に再度裁量労働制を適用する旨、就業規則等に定めて労働者に周知することをもって、本人の同意を得たものとすること」について、これを否定し、個別同意が必要である旨が明確にされました。

今回、専門業務型裁量労働制の対象業務として、M&Aアドバイザリー業務が追加されました。これに関しては、かなり範囲を狭めて適用されることになりますので、適用にあたっては注意が必要です。

すでに公開されているQ&Aにおいても、「複数名のチームにおいて、「調査又は分析」と「考案及び助言」を分業している場合には、対象業務に該当」しないとされていましたが(4-1)、「M&Aアドバイザリー業務を所掌する部署において行われる業務の全てが対象業務に該当するものではなく、あくまで「顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及びこれに基づく合併及び買収に関する考案及び助言」に該当するもののみが対象業務として認められる」こと(4-2)、「M&A仲介会社の業務について適用することはできない」こと(4-3)、「専門型の対象業務と非対象業務とを混在して行う場合は、たとえ非対象業務が短時間であっても、それが予定されている場合は、全体として専門型を適用することはできない」こと(4-4)などとされました。これらによって、今回追加されたM&Aアドバイザリー業務の適用対象者は相当限定されるものと思われます。

最後に、労使協定の有効期間については、「自動更新する旨の定めをすることは認められない」ことも確認されました。

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参考リンク

裁量労働制の概要(厚生労働省HP)